<?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?>
<feed xml:lang="ja" xmlns="http://www.w3.org/2005/Atom" xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:thr="http://purl.org/syndication/thread/1.0">
  <title type="text">Concrete / Switch </title>
  <subtitle type="html">オーディオは宗教ではない、生き方の指針だ　門松を爆破せよ</subtitle>
  <link rel="self" type="application/atom+xml" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/atom"/>
  <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/"/>
  <updated>2007-12-10T01:04:31+09:00</updated>
  <author><name>Siina daioujou</name></author>
  <generator uri="//www.ninja.co.jp/blog/" version="0.9">忍者ブログ</generator>
  <atom10:link xmlns:atom10="http://www.w3.org/2005/Atom" rel="hub" href="http://pubsubhubbub.appspot.com/" />
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/16</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/kisida%20slayer/%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%BC%E9%A2%A8%E3%80%80%E5%B2%B8%E7%94%B0%E6%95%99%E5%9B%A3%E5%BA%83%E5%B3%B6%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%84%E3%82%A2%E3%83%BC" />
    <published>2011-09-16T22:47:16+09:00</published> 
    <updated>2011-09-16T22:47:16+09:00</updated> 
    <category term="KISIDA SLAYER" label="KISIDA SLAYER" />
    <title>ニンジャスレイヤー風　岸田教団広島ライブツアー</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
KISIDA SLAYER<br />
<br />
「ライブオン・ポップセンス　ネオヒロシマデナイト」<br />
<br />
(これまでのあらすじ)<br />
全国ツアーライブという強行軍を<br />
カチグミエンタテイメント社から強要された<br />
キシダ・ハヤッピ・サムライテツ・ミッチャン・イチゴの五人は<br />
ナゴヤミソカツシティ公演を観客の死傷者を<br />
5人以下に留めることに成功し<br />
この成功を次なる会場のある<br />
ネオヒロシマでも完遂すべく、道を急ぐのであった<br />
<br />
<br />
新幹線が荒れ果てたマウンテンシャドーラインを駆け抜ける<br />
その中のVIP席にキシダツアーの姿、ネオヒロシマ公演に向けて<br />
遅刻気味の日程で進むキシダチャーチの面々である<br />
<br />
VIPシートに身をうずめたハヤッピの携帯無線機が<br />
突如電子ネコボイスでメールの受信を告げる<br />
ネオヒロシマに住まうフレンドニンジャから迎えの連絡だ<br />
<br />
&lt;&lt;リキシャー乗り場に長居　カツアゲ　到着まで待機せよ&gt;&gt;<br />
<br />
いきなりの暗黒めいた恐るべき世界の発露を垣間見つつ<br />
新幹線の電子マイコ音声がネオヒロシマへの到着を告げた<br />
<br />
<br />
ネオヒロシマは広大なセトウチ・シーを埋め立て<br />
数え切れないリバーにはさまれた<br />
三角州の上に作られた砂上の要害である<br />
かつて平安時代にはヤバイ級戦国武将　毛利元就の本拠地であり<br />
現在もその中心部には改築された<br />
ネオヒロシマダイミョキャッスルが禍々しい漢字サーチライトに照らされ<br />
その威容を今日に伝えている<br />
現在も戦闘に使うために整備されているのだ<br />
<br />
ダイミョキャッスルが今尚現役で使用されていることから判るとおり<br />
バトルヤクザクランの乱立するネオヒロシマの危険度は<br />
他のエリアの比ではない<br />
ツアーに組み込まれていることを知ったサムライテツは<br />
その場で失禁したほどである<br />
<br />
実際新幹線から降り立った瞬間<br />
キシダチャーチの前に立ちはだかったのは<br />
新幹線昇降口をハードに固めるネオヒロシマガードのSPだ<br />
他エリア民が警戒区域を一歩でも出れば末路は1つしかないため<br />
ネオヒロシマ治安局が観光客の立ち入るエリアに<br />
多数のガードを放っている<br />
<br />
これはネオヒロシマデッカーがヤクザクランと癒着し<br />
治安維持機構として一切の効力を失っていることの証明でもあった<br />
市民にとってマッポとは制服を着たヤクザなのである<br />
<br />
<br />
<br />
不安げにネオヒロシマの地に降り立った一行は指定された場所に向かう<br />
そこにはすでに威圧感を放つ銀色の武装乗用車が待機しており<br />
その隣には見覚えのある男の姿があった、オーディオニンジャである<br />
<br />
「ドーモ、キシダチャーチサン　トヨタスレイヤーデス」<br />
<br />
「ドーモ、トヨタサン　キシダチャーチデス」<br />
<br />
同時にオジギしアイサツを終えるとトヨタスレイヤーは車へと促した<br />
<br />
「手早く乗れ、ここは警戒区域の端だ」<br />
「そこの道を越えてからは命の保障はできんぞ」<br />
<br />
なんというマッポー的世界観!!<br />
ネオヒロシマ最大の駅の向かいの道を越えた段階で<br />
すでにヤクザクランのジムショが見えるのだ<br />
無知な羊はすぐさまカツアゲである<br />
<br />
「トヨタサン　この武装乗用車は思ったよりも小さい　荷物は大丈夫か」<br />
<br />
ギターや衣服といった大荷物を抱えた<br />
キシダの不安げな質問は正しかった<br />
銀色の威圧感を漂わせるそのボディからは<br />
人間が4人と装備一式を入れるには<br />
いささか室内が狭すぎた、それもそのはずである<br />
武装乗用車のベース車両はヘル・トヨタ社のデス・ブレイドだ<br />
カロラ級の小型ボディに<br />
巨大な大型車用エンジンを載せたモンスターファミリーカーである<br />
<br />
「無論このままではのらない、だから乗せるようにする」<br />
<br />
そういうとトヨタスレイヤーは<br />
突如キシダの180センチある巨体を折りたたみ始めた!!<br />
<br />
「ア、アイエエエッ!!」<br />
<br />
キシダを座禅めいた姿勢に折りたたむと<br />
おもむろにパッセンジャーシートに押し込み<br />
荷物をキシダの上から圧縮しシートを前に倒してキシダを固定する!!<br />
ファミリーカーとしての想像を超えた恐るべき行為を前に<br />
サムライテツは即座に失禁!!<br />
<br />
そのままの流れで気絶したサムライテツを同様の姿勢へ折りたたむと<br />
ギターケースと荷物を拷問めいた体勢で彼の上に置き<br />
その空いたスペースにハヤッピを滑り込ませた<br />
脆弱な肉体をもつハヤッピを気づかったトヨタスレイヤーなりの親切だ<br />
<br />
そして4人と荷物の重量をものともせず<br />
武装乗用車デス・ブレイドは発進<br />
<br />
格納された3人にトヨタスレイヤーは告げた<br />
<br />
「このデス・ブレイドはネオヒロシマ最速の武装乗用車だ」<br />
「たとえモヒカンに襲われようと余裕でふりきれる」<br />
「狭く、いささか持て成しの心が足りていないが命の危険にはかえられまい」<br />
「ネオヒロシマ滞在する間、このデス・ブレイドがお前たちのハイヤーだ」<br />
<br />
おもむろにトヨタスレイヤーが天井のスイッチを押すと<br />
小型の隠し扉が開いた、その中にあるのは小型のシュライン!!<br />
このデス・ブレイドは規模は<br />
小さいながらも武装霊柩車としても機能するのだ<br />
<br />
「見ての通り武装霊柩車でもある」<br />
「お前達がうっかり死体に変わっても、乗せられるのはこの車になる」<br />
「広々した武装霊柩車で天国へドライブしたいなら夜は出歩かないことだ」<br />
<br />
全員が恐るべきネオヒロシマの闇を垣間見　血の気が引くのと<br />
デス・ブレイドが警戒危険区域ギリギリの場所<br />
ネオヒロシマ最大の歓楽街<br />
ナガレカワに到着したのは同時であった<br />
<br />
よりにもよって最も危険なエリアのすぐ横に彼らのホテルはあるのだ<br />
すぐ傍に護衛代わりのフレンドニンジャ<br />
オールドブックの自宅があることが<br />
辛うじてキシダチャーチメンバーの命脈を保つこととなっていた<br />
<br />
かのニンジャ、オールドブックが暗がりから<br />
ライブ会場移動中のキシダチャーチを護衛するのだ<br />
その必要があるほどにナガレカワは危険に満ちた場所だ<br />
<br />
彼らのネオヒロシマライブの前途は入国からすでに多難であった<br />
<br />
<br />
「ライブオン・ポップセンス　ネオヒロシマデナイト」#1　終わり<br />
<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/15</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E9%9B%91%E5%8B%99/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%81%E3%81%84%E3%81%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88" />
    <published>2011-09-12T01:12:43+09:00</published> 
    <updated>2011-09-12T01:12:43+09:00</updated> 
    <category term="雑務" label="雑務" />
    <title>インタビューめいたサイト</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<br />
http://theinterviews.jp/siina-daioujou<br />
<br />
最近流行りの質問めいたサイト<br />
中々面白そうということで登録にいたるも<br />
予測されたかのように愚かな質問が飛び交う<br />
<br />
何者にもなれない一般人の虚栄心を満たす<br />
素晴らしいツールだと思いつつ<br />
自ら同じ穴の狢となってエンタメめいた回答を返すのだ<br />
<br />
というか最近オーディオ喋りすぎて忍べてない<br />
これはこれで問題でござる・・・<br />
<br />
]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/14</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%80%8010%E8%A9%B1" />
    <published>2010-11-02T23:56:50+09:00</published> 
    <updated>2010-11-02T23:56:50+09:00</updated> 
    <category term="孤独のオーディオ" label="孤独のオーディオ" />
    <title>孤独のオーディオ　10話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[音楽を聴くために必要なものは何かと問われるに<br />
<br />
機材と答える人間は正直者で<br />
お金と答える人間は相当にひねくれ者<br />
オーディオと答える奴はオーオタだ<br />
<br />
ではまともな耳と答えた人間は？<br />
<br />
意外に感じるかもしれないが、障害は意外と身近なものだ<br />
耳が聞こえない、聞こえにくい人間は大勢存在する<br />
<br />
それが先天性であれ、後天性であれ<br />
正常な耳は音と付き合うにあたって最も大切なものだ<br />
それに気づかぬは健全者ばかりなり<br />
<br />
私は彼の「それはいい音で鳴るのか」との問いに答える術をもたなかった<br />
<br />
以来、急性難聴がどんな難病よりも恐ろしく感じるオーオタの日課は<br />
<br />
一日2回の丁寧な耳掃除である<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
孤独のオーディオ　10話<br />
<br />
<br />
<br />
ト・ヨブレはスピーカーの数が多いほど表現が豊かになるわけではないことを知った<br />
<br />
皮肉にも彼が邁進していた道に逆行するかのごとく<br />
わずか2つのスピーカーから出る音は深くそして豊かである<br />
<br />
倉庫代わりの別室に山とつまれたスピーカー達はその瞬間、置物となり<br />
沢山のスピーカーを使いまわして遊ぶ時間は終わりを告げたのだ<br />
<br />
それはト・ヨブレの本当の意味での　「オーディオ」の始まりでもあった<br />
<br />
<br />
そうなればAVアンプではなくステレオオーディオアンプが欲しくなるのは当然であるから<br />
ト・ヨブレはオーディオアンプを手に入れる算段を画策し始めた<br />
<br />
どういったものがステレオアンプで何があるからAVアンプなのか<br />
どういったものがオーディオ用の機材たりうるのかを学び始めたのである<br />
<br />
<br />
PCをエロ・ゲーと神々の黄昏のためにしか使わなかったト・ヨブレが<br />
本格的にインターネットを本来あるべき用途に使い始めると<br />
電脳空間の英知は思ったよりも不親切であることに気づく<br />
<br />
機材の説明やスペックはいたるところにあり、メーカーだけでなく個人のサイトも多数あるのだが<br />
<br />
「オーディオをどう使い、どうオーディオたらしめるのか」これがさっぱり無い<br />
<br />
機材ありき、オーディオの来歴ありきのサイト達に見るべきものは少なかった<br />
だがそれらのサイトは<br />
彼らがどうオーディオに向き合っているかを伝えるものであって解説サイトではないのだから<br />
今思えば当然であるし<br />
オーディオのノウハウはあたら闇雲に公開するものでは無いことを知るのは後のことであるが<br />
なんとも不思議なもどかしさを感じたものである<br />
<br />
<br />
そうした鬱屈しとした状況を、身近にオーディオをしている人間にぶつけるべく<br />
ト・ヨブレはカ・マーゲ亭に赴いた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ネットで書いてることはさっぱりわからないし、まずもって日本語が通じているとは思えない<br />
とりあえずステレオオーディオのアンプに切り替えたいのたが、どうにもな<br />
<br />
「オーディオが趣味ですなど言っているサイトをいきなり見ても意味などないよ(*&acute;Д`)」<br />
<br />
しかしいきなり何も判らないままではないか、卿は一体何を見てオーディオを学んだというのか<br />
<br />
<br />
「いいかねト・ヨブレ、オーディオというのは音楽を聴く行為だ　ただの画面を見ても何もわかりはしない」<br />
<br />
<br />
<br />
ぐうの音もでぬ　とりあえずモノを聞かねばならんか<br />
<br />
<br />
「そうだね、昔はネットなんてまともになかったけど」<br />
「今は色々解説が見られる　これはこれで使わない手はない」<br />
「ただ今見ても、何を言っているのか判らない(&acute;Д｀;)　それは下地が何も無いからだ」<br />
<br />
その下地は、基本的な知識？<br />
<br />
<br />
「それもあるね、それと経験だろうか　ト・ヨブレがまともなオーディオで音を聞いたのはここでだけだ」<br />
「良い音とはなんなのか、自分の聞きたい音とはどんな感じのものか探してみるのもいいだろうヽ(&acute;ー｀)ノ」<br />
<br />
つまり店へいって視聴しろということだな、小利口に考えるなと<br />
<br />
<br />
「理屈は大事だ、指針の一つになるだろう　ただ、データありきになるなということさ」<br />
<br />
<br />
「さしあたってオーディオショップに招待しよう、丁度視聴会に招かれている」<br />
「ト・ヨブレヽ(&acute;ー｀)ノ車をもて、それとそのみすぼらしいスニーカーは置いてゆけ」<br />
<br />
<br />
やれやれ、店に出向くのに身なりを気にせねばならぬというのか<br />
<br />
「視聴会は遊びじゃない、ジャージは禁止だ　背筋を伸ばせよ」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
オーディオを学ぶにあたって自然とカ・マーゲはト・ヨブレの師となっていた<br />
理攻めのオーディオ学と病気のオーディオ教　二面の均衡がとれたオーオタは貴重である<br />
先立のオーオタとして、比較的バランス感覚に優れた彼はいい教師役に最適であり<br />
オーディオという趣味の極端な面と、見るべきでない点に同時に触れることができた<br />
<br />
これは自称オーオタに良く見られる、高額機材を求めるだけに終始したり<br />
理解不能なインチキアクセサリの収集でシステムを圧迫するなどの愚かしい人々にできていないこと<br />
<br />
「機材を使う」という行為と「最適な機材をそろえる」という2つの意味を理解する上で大事ごとであった<br />
<br />
<br />
この二つの行為は理解されているようで現実との隔たりは遠い代表例である<br />
どんな高額機材も道具として正道な使い方をしなければ実力を発揮できはしない<br />
<br />
また、それらの機材は使う側に相応の理解を求めるものであるから<br />
自身のレベルアップに合わせて相応のものに段階を踏んでいくべきである<br />
それを怠った時、無用のトラブルで大切な機材を永遠に失うのである<br />
<br />
それら専門性の高い機材は一般の家電と存在意義も必要な維持知識も冠絶している<br />
ト・ヨブレにとってオンキョーアンプがそうであったように<br />
せったくだからと奮発して買った機材が炎につつまれるのは悲しいことにちがいないのだ<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
さて、一般的エロ・ゲマーから一人のオーオタ(下忍)に出家しようかというギリギリのト・ヨブレにとって<br />
オーディオショップの謎空間は恐ろしい存在でしかなかった<br />
アルテックA7やタンノイを初め、想像だに出来ぬ音色と迫力を放つ大型スピーカーや宝石のような機材達<br />
張られた値札の目玉の飛び出るような金額にト・ヨブレは愕然とするしかない<br />
<br />
しかし聞ける音のすさまじさたるや、店の一角の開放スペースでしかないそこは音の神殿である<br />
<br />
今現在でも時折冷やかしにいくそのオーディオショップは下取りした中古品をレストアして売っており<br />
そういう意味で後年いくつかの機材を引き取ることにもなるのだが<br />
<br />
<br />
意外にもト・ヨブレの最初のステレオオーディオアンプは　その店で購入されたわけではない<br />
<br />
たしかに興味をひいたものがあったことも確かだが<br />
少ない給金のうち私事につかえる金銭は枯渇しつつあったのも確かであり<br />
当時ならんでいたものでまともに買えそうな中古は<br />
ソニーのラジオレシーバーくらいしかなかったという現実が苦しかった<br />
<br />
<br />
<br />
そんなト・ヨブレが目をつけたのは、発展著しい個人取引「ヤフーオークション」<br />
<br />
乏しいインテリジェンスを消費して発見したこの文明の英知は<br />
以後様々な機材をト・ヨブレの手に届けることになる<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
その中でも特別な存在、ト・ヨブレの　最初のステレオアンプ<br />
<br />
<br />
<br />
これがヤッホーオークション？　なんとすばらしい　たくさんものがあるぞ<br />
何かいいアンプはいいものか、できれば安いものが良い　どうせ最初だ<br />
いずれ買いなおすことにもなるだろう、1万円以内でいい<br />
<br />
<br />
<br />
それはまっとうな純正品ではなかった、それを見つけたのはほんの偶然<br />
幾多のオーナーの手をわたる度に改修され、すでに原型をほぼ留めない状態になったそれは<br />
<br />
かつて　僅か33000円という価格で世界を席巻した名機の一つ<br />
<br />
<br />
<br />
ほう、若干改造してあるが大事に使っていました<br />
私が始めて使ったアンプです、大事に使ってくれる人に・・・　なるほどこれは運命かもしれぬ<br />
黒いボディに小ぶりながら大パワーとある、S6000を動かせるかもしれない　これが良い<br />
<br />
<br />
<br />
DENON PMA-390<br />
<br />
その後マーク4になる四代目まで同フレームのまま進化と世代を重ね<br />
19年たった現在もその名390を関した後継機を残す<br />
<br />
プリメインアンプ　390シリーズの初代　PMA-390マーク1カスタムとの出会いであった<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
用語解説<br />
<br />
<br />
急性難聴<br />
<br />
オーオタが最も恐れる病の一つ、理由は自明　耳を失ったオーオタは生きることが出来ないからだ<br />
いかなる音を出そうと聞き取れねば意味はない<br />
生きがいを失い、生を儚んで自決するオーオタもいるほどである<br />
<br />
急性難聴は現代において尚、原因不明の病である上　治療法も明確なものは存在しない<br />
症状としてはひどく疲れていると唐突に方耳が聞こえなくなるといったものであるが<br />
この症状が出た場合絶望せず、何にもおいて速やかに専門医に一秒でも早くみせる必要がある<br />
<br />
これは初期治療の速さで完治するか治らないかが決まるからだ<br />
一週間以内がタイムリミットであり　それをすぎても放置していると復帰はほぼ絶望的である<br />
早期投薬と休息、血流をよくし暖めること　方耳になりたくなければ絶対に動くべきである<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/13</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%80%809%E8%A9%B1" />
    <published>2010-09-23T01:23:37+09:00</published> 
    <updated>2010-09-23T01:23:37+09:00</updated> 
    <category term="孤独のオーディオ" label="孤独のオーディオ" />
    <title>孤独のオーディオ　9話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[たとえば想像してみるといい<br />
自分にとって理想の音とは何か<br />
<br />
好きなジャンルは何か、好きな楽器の音は何か<br />
あえて言うなら好きなアーティストでもいい<br />
個人個人音には好みがあるはずだ<br />
<br />
人生において1度くらいは、良い音でこれら好きな音楽を<br />
今より良い音で聞いてみたい、そう思ったことはないだろうか？<br />
<br />
しかし何時しかそれを人々は忘れるだろう<br />
要因は様々、環境・お金・家族　あるいは音楽という存在を忘れることもあるだろう<br />
<br />
安価なデザイニングポータブルプレイヤーがステイタスとして確立し<br />
音楽はそれで十分と思ってしまうこともあるだろう<br />
<br />
その人々にとってはそれで十分なのかもしれない　十分だったのかもしれない<br />
<br />
<br />
<br />
だが忘れられない、彼らは　我々は<br />
<br />
もっと良い音で　もっと良い曲を　あの名曲を今一度最高の環境で<br />
もっともっと、その欲が彼ら突き動かす<br />
<br />
たった一つ「良い音を聞きたい」それだけがために<br />
<br />
それだけが動機で、それだけが全てで　それ以外はあらゆることが無価値がゆえに<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
孤独のオーディオ　9話<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
初めての大型スピーカー「S6000」を手に入れたト・ヨブレはその恐ろしい音に震撼した<br />
<br />
たしかにその巨大な、30センチはゆうにあろうかという大きなスピーカユニットから繰り出される音が<br />
相当に大きく腹に響くものであろうということは予想していたが<br />
ヴォリュームをあげるにつれてたたき出されるその低音に、ト・ヨブレは参ってしまった<br />
<br />
恐ろしい迫力である<br />
<br />
これがミニコンポなどとは違い、オーディオとして生み出されたスピーカーの力なのかと<br />
驚嘆の限りである、ここまで巨大なスピーカーは生来見たことがないからだ<br />
<br />
<br />
カ・マーゲの所有するオーディオスピーカー「BC2」よりも更に大柄なS6000は<br />
3ウェイ構成にアッテネーターといわれる音調装置を内臓し<br />
高・中・低の3音の何処を強調するか任意に決定できる機能を持っている<br />
<br />
すなわちこれは高音がほしいと望めばツマミをハイにもっていけばよく<br />
ボーカルを押し出したいと思えばミドルへ、低音はローへスイッチすればいいのである<br />
<br />
60年代後半から80年代中ごろに至るまでは<br />
スピーカー側にこのアッテネーターが内臓されている事が多かった<br />
<br />
スピーカーだけでなくアンプにもトーンコントロールという名前で似た機構が存在し<br />
元々はこちらに多い機構だが、価格の安いミニコンポでお目にかかることは稀である<br />
当時機構的に貧弱だったアンプ側に依存させないためか、外部に搭載させる風潮だったのだろう<br />
<br />
振動体であるスピーカー内部にこれら回路を搭載することは<br />
音質の観点からすればあまり良いこととは言えないため、現在では内蔵型は一部を残し衰退したが<br />
1967年製のS6000は黎明期のスピーカーであるから<br />
当然調整部に周波数表の刻印つきでその存在を誇示している<br />
<br />
<br />
驚くべきことにS6000は製造から40数年、数十年は使用されないという放置期間をへても<br />
その動作は正常であり、アッテネーターも固着しておらず　全機能を使用することが出来た<br />
<br />
スピーカーは意外と古くても動けば動くものなのだ<br />
それがゆえに中古でアンプを買うよりは安全といわれるが<br />
実際には経年劣化のダメージを受けにくいというだけで、劣化しないわけではない<br />
何物も状態次第である<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
これはすごい　なんという音だ<br />
すさまじい迫力、低音　しかもサブウーハーのようなテンポのズレた下品な感じではない<br />
<br />
しかも3ウェイだ　これだけ古いのにまるでミニコンスピーカーが全く相手にならない<br />
ハイもローも　そしてミドル・・・というのかな　今まで気にしなかったが<br />
<br />
とにかく不思議にミドルモードにすれば歌も聞き取りやすい<br />
全く違う、こんなにも差がある<br />
<br />
たしかにカ・マーゲの音は凄まじかった、あれにくらべばこれも・・・だが<br />
これだってまるで相手にしてはいない、オーディオというものは　こんなにも差が出るものなのだな<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
歴然であるその迫力がゆえに、ト・ヨブレは自然とヴォリュームをあげていった<br />
それが後に起こる事件の引き金となるとは露とも思わなかった彼は<br />
ひとまず訪れた自宅の革命に酔いしれた<br />
<br />
<br />
その後、ト・ヨブレはある考えを思いついた<br />
<br />
自分のアンプがAVアンプであることの特性を生かそうというのである<br />
当然多スピーカーとはいってもマルチチャンネルデータを再生しているわけではないから<br />
サラウンドとして再生しているわけではないのだが<br />
<br />
サラウンドシステムはスピーカーを四方に配置し、それら全周から音を出すものだと知った彼は<br />
自分の家でやりたくなったのである、AVアンプユーザーであれば当然の反応であろう<br />
<br />
<br />
最も大きなS6000の上にサンスイ3ウェイを乗せ、更に上にオンキョースピーカーを乗せるという<br />
信じがたい超時空音響要塞マクロスと化していたそれはトランスフォーメーションを果たし<br />
<br />
ダイダロスアタックもかくやという左右に広がった配置をとった　正に強行型である<br />
<br />
オンキョースピーカーを横に寝かせて本棚の中に入れることで見た目よく<br />
本棚から張り出した両翼の棚上にサンスイを、そして<br />
その棚の下に本棚の構造材で覆うようにガードされたS6000<br />
部屋を格好よく見せながら　多スピーカーらしい配置を実現し　ト・ヨブレは満足の極みにあった<br />
<br />
前から広く放射される音楽は臨場感たっぷりで心地よく<br />
大型スピーカーからはじき出される低音は腹の底に響き渡った<br />
<br />
<br />
感動の極みである彼はどんどんヴォリュームをあげていく<br />
そしてその日も気分よくアンプのヴォリュームを捻ったそのとき<br />
<br />
マンションの内線がけたたましい音を立てていることに　辛うじて気づいたのである<br />
<br />
<br />
<br />
そう初めての騒音苦情だった<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
不思議だった、全く納得できないのだ<br />
<br />
何故ならト・ヨブレにとっては「以前ほど音をだしていない」からである<br />
<br />
S6000を導入する以前の方がむしろ音は大きかった筈だ<br />
ヴォリュームだって今のほうがむしろ低いぐらいで、実際自分で聞いていても<br />
ヴォリュームをあげないと「なんとなく音が判りにくい」くらいだ<br />
<br />
たしかに大きなスピーカーがあるから低音はでる、そのことなのかもしれないが<br />
それだって以前より少し強いぐらいだ、内線がかかってくるレベルとは思えない<br />
<br />
疑問は膨らむばかりである<br />
<br />
<br />
<br />
そんな折、カ・マーゲが外食のため車の迎えを要求したので<br />
よい機会であるから、話を聞いてみることにした<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
こういうことなのだカ・マーゲ、まるで不思議なことだ<br />
<br />
「クレームつけられるほど爆音ってどんだけだね(&acute;Д｀;)」<br />
「しかしまぁ　こないだ見た様子じゃ無理もないだろうね」<br />
<br />
どういうことか？　卿は何故見ただけで判るというのか<br />
<br />
「そりゃああれだけ条件が整っていれば、出る音くらい察しはつく ヽ(&acute;ー｀)ノ 」<br />
<br />
「何故かなどいうまでもないことだ、ト・ヨブレ　うちでもう一度音楽を聴け」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
彼はそう言うと、いつも聞いているCDを持って家に上がれと促した<br />
カ・マーゲは疑問に対しては初め、明確な回答はしてこない<br />
答えを知りたいなら聞けということだ、ヒントを与え自己解決を求める<br />
<br />
あるいは考えることを促しているのかもしれなかった<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
何時もながらいい音だ、これでやられては流石に家が霞む<br />
<br />
「そうだろうさ(*&acute;Д`) 　だがそれだけじゃないだろう、どう思った」<br />
<br />
どうといっても、只管音が良いとしかな・・・<br />
<br />
「そうじゃないト・ヨブレ、良し悪しは問題ではない」<br />
「音はどうだったかと聞いているんだ、どう聞こえた？　どういう差があるんだね」<br />
<br />
<br />
こっちはハッキリしている、なんというか音が輪郭があるというのか？　わかりやすい<br />
<br />
「そうだト・ヨブレ(*&acute;Д`) 「わかりやすい」だろう？　ぼやけた感じがしないだろう」<br />
「ハイもミドルも判りやすいが、それ以上に低音はどうだ　家のようにボーンボーンと鳴っていないだろう」<br />
<br />
まさに、なんか低音がブブブとかボボとかボーンとか　そういう感じの音がしていない<br />
スピーカーが違うからか？　こっちはそういった音がない<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
そこまで喋った所でト・ヨブレはハッとした<br />
奇妙な違和感に気づいたのである、一番ハッキリした違和感は音ではあったが<br />
今度のそれはもっと広い範囲のものだ<br />
<br />
そう音量が　小さい<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
いやまて、ヴォリュームをそんなにあげていないはずだぞ　何故こんなに聞こえる　何故だ<br />
<br />
<br />
「気づいたか、そう実は今それほど音量を出してはいない　しかし音楽は判りやすいはずだ」<br />
<br />
そうだ、うちよりずっと小さい音だ　なのに何故こんなに繊細なところまで判る？<br />
システムの値段が桁違いだとしてもこれほどまでに差が出るものなのか<br />
<br />
「それは違うト・ヨブレ、君の家でさえ　これに近い状態に本来はあるはずだ」<br />
<br />
では何故、我が家はああなってしまうのか　何が間違っているというのか？<br />
<br />
<br />
「近隣にご迷惑をおかけしているのは、まぁ低音が主だろうということ察しているな？」<br />
「そして低音には良い低音と悪い低音が存在する、前者が我が家で後者が君の家さ」<br />
<br />
・・・<br />
<br />
<br />
「何故そうなってしまうのか、原因は複合的でどれが　というわけではないが」<br />
「そう、しいていうならば」<br />
<br />
言うならば？<br />
<br />
<br />
<br />
「出る音の数が、多ければ良いというものではないだろう」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
カ・マーゲはそれ以上語ろうとはしなかった<br />
だが重大な、重大すぎるヒントには違いない、最後の一言におそらく集約されているだろうからだ<br />
<br />
悪い低音をだしてしまう、それが苦情の原因<br />
そして、音がわかりにくい原因　全てが繋がっていると言いたげな台詞回しから察するに<br />
間違いなく、要となるのは低音であろうからだ<br />
<br />
<br />
ト・ヨブレは帰宅すると音楽をかけながら、機材を睨み　意識を集中した<br />
そしてカ・マーゲの家で聞いた音とすり合わせ、違いを感じようとしていた<br />
<br />
しかし結果は無常である、差がありすぎて違和感ばかりが耳につく<br />
<br />
しかし低音をイコライザーで調整したところで違和感が強くなるばかりだ<br />
一体何が足りない、何処を間違えているというのか、悩み続けた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
もっとだ　考えよう、何が違う？<br />
音だけじゃない、機材も・・・機材・・・？<br />
<br />
そうだ、構成に大きく違いがあるではないか　俺はスピーカーが6個<br />
あっちは2つじゃないか、しかし全く何もかもがあちらが上だった　2つだけなのに臨場感ですら<br />
<br />
これのことではないのか「出る数が多い」というのは　スピーカーの数のことを言っているのではないのか<br />
<br />
まず2つにしてみよう<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
その結果は、不思議なものだった<br />
たしかに2つになり臨場感はどこかに消え、寂しくなった感じはしたが<br />
もやはそんなことはどうでも良いくらい「音が聞きやすくなった」のである<br />
<br />
それだけではない、そのまま聞いているうちにハッキリと<br />
今の方が音が良いのではないかと思えてきたのだ、何より違うのはS6000のウーハーが吐き出す音である<br />
ボボボとくぐもった感じしか出せていなかったS6000は見違えるように伸び伸びと音を出している<br />
<br />
今だにボヤついた感じは残るものの、先ほどとは全く違う<br />
そしてヴォリュームも12時を過ぎずども、ちゃんと聞き取れる<br />
<br />
<br />
<br />
これが答えだったのだ、ト・ヨブレは確信した<br />
<br />
<br />
スピーカーの数が多ければ良いというものではない　ということを<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
用語解説<br />
<br />
<br />
アッテネーター<br />
<br />
オーディオにおけるアッテネーターの役割は好みにあわせて出る音を調整するという存在意義を持ち<br />
これらはアンプやスピーカーに搭載される場合、レベルゲージに合わせて調整できるよう<br />
ツマミ形状のロータリースイッチで動作のON/OFFと調整を行う<br />
<br />
アッテネーター本来の機能は減衰機であり、一定部分を増幅して強調するものではなく<br />
むしろ一部分を下げることでコントロールしているのであるが<br />
利用するにあたっては特定音域を強調するためのツマミだと認識していればわかりやすい<br />
<br />
<br />
これらの回路は音楽データをアンプからスピーカーへ送る際にその間に入るため<br />
これらコントロール回路を介することでの音質低下はやむおえない<br />
ましてそこで減衰させてしまうなら尚更である<br />
<br />
そのためアンプなどの機材では高級機器になればなるほど<br />
これらの調整機構はなくなり、回路直結による音質劣化を防ぐ構造になっていく<br />
パワーアンプなどにはヴォリュームすらついていないものもあるが、これも一例である<br />
<br />
また前述の通り、イメージしにくいことだが回路にとっても振動は害悪であるため<br />
振動媒体であるスピーカーに内臓されたタイプは時代の変化と共に消えていくこととなった<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/12</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%80%808%E8%A9%B1" />
    <published>2010-09-12T00:21:19+09:00</published> 
    <updated>2010-09-12T00:21:19+09:00</updated> 
    <category term="孤独のオーディオ" label="孤独のオーディオ" />
    <title>孤独のオーディオ　8話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[スピーカー　それは特別な存在である<br />
<br />
いわゆる家電　というには電子機器じみていないし<br />
道具　というには汎用性に欠けている<br />
置物としてみるならば正直、偽者と判っていても小伊万里の皿のほうが見栄えもよかろう<br />
<br />
音を表現するという意味だけを持たされたそれらの製品は<br />
驚くほどそれ以外の用途に使うことが出来ない<br />
<br />
万能便利な道具はもてはやされ、多くの人に使われる　アイフォンなどが良い例だろうか<br />
しかし万能便利な道具はあくまで生活における道具でしかない<br />
<br />
それ以外の何にも使えず、置き場も取る上生活の向上になんら寄与しない木箱達<br />
<br />
<br />
だがそんな非合理な存在だからこそ　　スピーカーは特別な存在なのだ<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
孤独のオーディオ　8話<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
人生においてこれまでかつてない衝撃にみまわれたト・ヨブレは<br />
その若さゆえであったかもしれないが行動は迅速だった<br />
<br />
オーディオというカテゴリにおいて<br />
一般市民が見ることのかなわない領域があること<br />
それが普段は隠匿されており、デュオデュオや巨カメラのような市民向け家電量販店には<br />
それらの存在を置いている所は極めて稀だということなどを悟った<br />
<br />
実際彼が出向くゴミ屋はあくまで場末のリサイクルショップであるし<br />
近場の電気屋といえばあろことかアプライド(PC屋)である<br />
そんなところに秘匿されしオーディオ機材があるはずが無い<br />
<br />
<br />
大きな問題もある、ト・ヨブレの口座　その瞬間の残高は一万三千円少しである<br />
<br />
<br />
<br />
社会人1.2年の頃を思い起こせば多くの人が金が一円も残らない生活をしていたと答えるだろう<br />
その例に漏れず、ト・ヨブレはまさに社会の底辺といっても過言ではない有様であり<br />
貯蓄などという言葉は己の辞書になかった、節約という言葉もついでにない<br />
<br />
合言葉がウッヒョーコロスコロスの状態で、金が残っている筈も無かった<br />
<br />
<br />
<br />
しかしそこで金がないからと諦めるような人間は到底オーオタになることはできない<br />
現状の自分に許された最大限で現状の最良を求める精神をこそオーディオの教えであり<br />
何も高額機材をいきなり買う必要などないのである<br />
<br />
少ない金を使って「オーディオ」に近づくために何ができるのかをト・ヨブレは考えた<br />
<br />
しかし答えは正直1つである「中古しかない」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
当時の彼はまだオーディオという存在を知ったばかりで、モノを調べる知恵もない状態であるから<br />
出口優先の思考もなければ、何がオーディオらしいオーディオなのかがまるで判っていなかった<br />
指針こそ見えたものの、ようするにどの機材がオーディオ機材なのかさっぱりな状態である<br />
<br />
そんなト・ヨブレはそれっぽい見た目のアンプを買うことから始めた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
この黄金色に輝く、巨大な物体　これはアンプだ<br />
<br />
まさにスピーカーを繋ぐ場所が大量についている　これはすごいな<br />
それに凄まじい重量だ、アンプというのはこんなに重いのか<br />
<br />
それによくみたらCDを入れるところがない、MDもだ<br />
これは最初から線で音を飛ばして再生させるものなのだ、これこそオーディオに違いない<br />
<br />
それにこのスピーカー、カ・マーゲのあれよりは小さいがこの箱には3つスピーカーがついている<br />
いかにもそれっぽい、これとこれだ　早く運ぶのだ、ジ・マール<br />
<br />
「うっせ★　俺は玩具コーナーに桃源郷を見た★　イケメン面の機関車達が俺の荒んだ心を癒す★」<br />
<br />
奴隷に口など必要はないな<br />
<br />
「やめろおまえ俺が何したって言うんだ僕はただトーマスのどや顔で世界にラブ＆p　ウワラバー!!」<br />
<br />
<br />
<br />
友人をピラミッド建設の奴隷のごとく扱い、スピーカーを背中に抱えさせてト・ヨブレは帰宅した<br />
残高全てを消費して手に入れたのは<br />
ヤマハのAVアンプとサンスイのホーム用3ウェイスピーカーであった<br />
正直何も知らずに買ったがゆえのニアミスだが<br />
帰宅して鳴らしたト・ヨブレは、値段からみれば大成功だと大いに喜んだ<br />
<br />
実際3ウェイスピーカーを使うのは初めてであるし<br />
なにより人生で初めてアンプらしいアンプを手に入れたのだ<br />
<br />
それにこれらの機材が後に大きなことをト・ヨブレに教えてくれるのである<br />
<br />
<br />
さて、AVアンプにはある機能があることをご存知だろうか？<br />
AVアンプをAVたらしめるそれはホームシアターシステムと連動するための<br />
マルチチャンネル再生機能のことである、一般的には5.1チャンネルなどと呼ばれ<br />
現在はステレオオーディオの世界よりもずっと、市民とって一般的オーディオである<br />
<br />
当然、これに対応するからにはスピーカーを繋ぐための端子が複数ある<br />
ト・ヨブレはそれに目をつけたのである<br />
<br />
<br />
これまではLRの1セットしかない場所へ2セット分のスピーカーを無理やり差し込んでいたのだが<br />
<br />
AVアンプにはなんとLR端子が2セットにリヤスピーカー用のR端子左右が存在する<br />
つまり無茶をしなくても3セットで6発のスピーカーが同時に鳴らせるのだ<br />
まさに多スピーカーに傾倒したままのト・ヨブレにとって神の贈り物である<br />
<br />
<br />
とある事件のせいで、ト・ヨブレは無理やり1つの端子に詰め込むことの危険性に気づいたからだ<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
それはある休みの雨日和、いつもどおりスピーカーを多数つなげて遊んでいたある日<br />
<br />
スピーカーをつなけばつなぐほど音が増えていくことを楽しんでいたト・ヨブレはある無理を通した<br />
1つの端子に一体どれだけ接続できるかという無謀な挑戦を<br />
<br />
最終的にオンキョーミニコンポにスピーカーを4セット8個接続し、CDを再生したその瞬間事件は起きた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ボォン!!　　　　　　　　　　　　<br />
<br />
<br />
<br />
リモコンを握ったままト・ヨブレはその光景が信じられなかった<br />
<br />
それなりの大金を出して買った愛機オンキョーアンプが炎を噴きだしたのだ<br />
激しい黒煙をしばらく噴出し、それは永遠に沈黙することとなった<br />
<br />
原因はむき出しの銅線が接触したことによる短絡(ショート)である<br />
<br />
<br />
そもそも8発もミニコンで動かそうというという状態がすでに様子がおかしいのだが<br />
ともかく、その事件以来多スピーカーをするには端子が多くないとだめだという意識が芽生えていたのだ<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
晴れてスピーカー6発体制で音楽を楽しめるようになったト・ヨブレだが<br />
<br />
そうなるとスピーカーそのものを収集しようという欲がでるのは当然のことだろう<br />
それもなるたけ、大型のアンプに相応しい大きさをもった大型スピーカーを　である<br />
<br />
<br />
<br />
そしてそのスピーカーを１セット手に入れるアテは既にあった<br />
<br />
祖父母の住む実家に帰省した際<br />
物置同然に捨て置かれた一室の片隅に、あるものが置いてあったからだ<br />
<br />
それは40年も昔のこと、オーディオ機材を持つことがステイタスとなりつつあった時代に<br />
祖父がシステムごと買ったオーディオセットの一部である<br />
<br />
<br />
実際にはアンプやレコードプレイヤーを含めて格納する専用ケースすら全て揃っていたのだが<br />
アンプは電源しか入らず、テープやレコードは既に40年の歳月のため永遠に沈黙していた<br />
<br />
しかしスピーカーは別である、薄汚れてはいたがユニットは3ウェイ全て健在であり<br />
古いスピーカーにありがちなコーンエッジのゴムがポロポロで穴が開いているということもなく<br />
布で作られたと思しきスピーカーコーンとエッジは40年の月日を経ても劣化は見えない<br />
<br />
その自分の腰ほどもある巨大なスピーカーを引き取ろうというのだ<br />
<br />
<br />
<br />
その大きなスピーカーの名は　オンキョーS6000<br />
<br />
初めてト・ヨブレが手に入れたオーディオ用スピーカーである<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
用語解説<br />
<br />
<br />
<br />
AVアンプ<br />
<br />
オーディオビジュアル(AV)専用に開発されたマルチチャンネルアンプの通称<br />
いわゆるAVアンプといっても多々種類が存在し<br />
Jネット★タカタでテレビとセットで更にお安く等とほざいているものは2.1チャンネルの紛い物<br />
<br />
AVアンプはこれれっきとした単一の機材で、見た目は接続端子がやたら数が多い<br />
液晶画面つきの大型アンプといった風情である<br />
<br />
最大の特徴マルチチャンネルは録音・編集の段階から<br />
音声が前後左右の音が発生する位置を画面にトレースさせる目的で作成されるもので<br />
ライブDVD等はともかく、ステレオCDをこれで再生してもマルチ再生されるわけではなく意味はない<br />
<br />
2チャンネル(ステレオ)を再生してもそれが複数のスピーカーから出るだけであり<br />
リヤスピーカーの意味も当然薄いが、多スピーカーの効果そのままに臨場感は絶大である<br />
これに心酔し、そのままAVの世界へ行ってしまう者も少なくないのが現状である<br />
<br />
しかしたとえ高性能なAVアンプを使用したとしても<br />
多スピーカーである以上1つスピーカーから発生する音エネルギーの総量は数の分だけ減少し<br />
音質的にはステレオアンプに大きく水を開けられてしまう<br />
<br />
これは用途の違いによるもので、多機能を求めるAVアンプが構造上不利なのであり<br />
存在の優劣を語るものではないない<br />
<br />
ステレオにはステレオ　マルチにはマルチのためのアンプが存在し<br />
これらは映画等、映像と同時に楽しんでこそ本当の価値を発揮するものである<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/11</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%80%807%E8%A9%B1" />
    <published>2010-09-10T23:44:39+09:00</published> 
    <updated>2010-09-10T23:44:39+09:00</updated> 
    <category term="孤独のオーディオ" label="孤独のオーディオ" />
    <title>孤独のオーディオ　7話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[その日、オーディオに出会った<br />
それまで見てきたどんなものでもない「本物の」オーディオに<br />
<br />
それで何をしようというのか<br />
それで何を見ようというのか<br />
それで何を聞こうというのか<br />
<br />
オーディオというものに触れる人間にそのような問答は不要である<br />
<br />
それをこそ無心に求めるがゆえに　彼はオーオタなのであるから<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
孤独のオーディオ　7話<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
その奇天烈な男はひたすら胡散臭い<br />
<br />
<br />
<br />
「スピーカーばかりみていたようだが、 何をしようというのか(*&acute;Д`) 」<br />
<br />
<br />
<br />
誘われるがままにカレー屋へ連れられたト・ヨブレは<br />
自分が何を求め、何をしようとしているのかを語る<br />
<br />
これまでの経緯、求めているもの、発見したもの探すもの<br />
不思議とそれらを語る気になったのは、その男がそれと悟らせる程度に<br />
言葉の節々に見せる「自分もエロ・ゲーを嗜む」という意思表示だった<br />
<br />
ト・ヨブレよりも幾分か歳を重ね、何年も前から社会で飯を食っているせいか<br />
よくある若さゆえのエロ・ゲーへの奇妙な崇拝や意思表示はなく<br />
落ち着いた様子でホワイトアルバム(当時はまだリメイクされていない)の魅力を語る姿は<br />
それなりの苦楽を二次元煩悩と過ごした者、まさに悟りを開いた様子である<br />
<br />
カレーを完食しきり、辺りが夜の街へ変化しようという時間までエロ・ゲー談話が進む<br />
<br />
<br />
ただそれだけで終われば、不思議な男も居たものだ　で終わったのだが・・・<br />
<br />
<br />
<br />
「ト・ヨブレヽ(&acute;ー｀)ノ 部屋にこないかね」<br />
<br />
卿は初対面を会ったその日に招くのか、豪気なことをするものだ<br />
<br />
「今日でなくてもかまわないが、一度くるといい(*&acute;Д`) 」<br />
<br />
いや、この際招きに応じるとしよう、オ・タクーの部屋拝見といこう<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
そこで一度断れば、きっと<br />
二度と再び会うことも無く、彼の部屋にあるものを目にすることもなく終わったことだろう<br />
<br />
何故か彼はそこで行くという判断をした　正に、人の命運は奇奇怪怪<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
彼の部屋はそれなりに高額なマンションの高階層にあった<br />
身なりが素人目にも良いことから、おそらく高給取りであることは伺えたので予想の範疇内である<br />
<br />
貴族のエロ・ゲマーも昨今そう珍しい存在ではない<br />
<br />
部屋の一角を煩悩の秘密道具を収めてあったであろう空き箱が埋めていたり<br />
壁一面に貼り付けられ、ド根性ガエルのごとき薄っぺらい姿にされた哀れな美少女達の姿があったりと<br />
とても世間様にお見せできぬ生活空間を隠し持つのに身分の貴賎はない<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
しかし、この部屋にあったものは桃色の空間などでは断じてない<br />
ロフト付きの広い室内の一角を完全に占拠していたのは<br />
<br />
無骨なくすんだ木の色そのままのやや大型の箱が2つに<br />
見たことも無い鮮やかな色と信じがたい太さのケーブルで繋がれた鋼鉄の地肌むき出しの物体<br />
<br />
それが放つ空気は、到底常人に耐えられるものではない<br />
<br />
<br />
その謎の巨大システムが何をするものなのか、用途は辛うじて判る<br />
<br />
木箱は見たことも無いほど大きいが、ネットの外れたスピーカーのように見えるし<br />
二つある鋼鉄の平べったい箱は、おそらくアンプであろうからだ<br />
<br />
しかし見たことが無い、こんなものは<br />
だが明らかに自分が見て触ってきたものと、一線以上を隔することは明確である<br />
<br />
<br />
<br />
まるで異質な世界に立ち入ってしまったような哀れな旅人、ト・ヨブレは思わず後ずさった<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
これは、これは一体なんだ　なんなのだ<br />
<br />
「オーディオ」<br />
<br />
オー・・・ディオ？　これがか　こんな巨大なものがか？　なんの冗談だ<br />
<br />
「何処にも冗談などない、これはオーディオだ、これが、これこそがオーディオというんだト・ヨブレ」<br />
<br />
鳴るというのか?　こんなものが　こんな巨大なものが　音楽を出すというのか？<br />
<br />
「そうだ、そのために、そのためだけに存在する」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「聞いていくかね？」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
その日、耳に入り込んだ「音楽」というものを生涯忘れることは無いだろう<br />
当時のそれより優れた「音」はその後幾度も聞くことになるが<br />
そのとき初めて「本当のオーディオ」で聞いた最初の音は特別なものになった<br />
<br />
同時に、ト・ヨブレがやってきた　あらゆる行為が無駄になった<br />
どんなに探しても、ゴミ屋に二束三文で転がるミニコン用スピーカーでは<br />
到底太刀打ちできぬと、否応なしに理解してしまうその音色<br />
<br />
その全てに魅せられた、音・見た目・雰囲気<br />
<br />
まさに、全てを過去のものへとする　文明開化の鐘そのもの<br />
一度として聞いたことの無い、楽器の生々しい音の数々と広がり<br />
<br />
<br />
革命であった、その感動を言葉で表すには彼の乏しい表現力では身に余るだろう<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ト・ヨブレは彼に問うた、どうしてこんな音が出るのかと<br />
<br />
回答はただ一言である<br />
<br />
<br />
<br />
「これがオーディオだからさ」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
そう、ト・ヨブレがその音を手に入れるにはオーディオを得なければならない<br />
今まで手に入れてきたものとは明確に次元の違う存在<br />
オーディオという名前を持ちながら存在意義の異なる機材達を<br />
<br />
手に入れなければならない、自分の手で<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
その日彼はオーディオを知った<br />
<br />
長い長い、旅路の始まりの日である<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
そしてその日ト・ヨブレは、あまりのことに忘れていた事を彼に改めて問うた<br />
<br />
<br />
<br />
そういえば今更だが卿の名を聞いていない、なんというのか<br />
<br />
「そういえば(&acute;Д｀;) 名乗るのを失念していた_( (_&acute;Д`)_ 」<br />
<br />
<br />
<br />
「私の名は　カ・マーゲ 」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
登場人物<br />
<br />
<br />
<br />
カ・マーゲ　(マスター・カ・マーゲ)<br />
<br />
<br />
ト・ヨブレが初めて遭遇した「本物のオーオタ」<br />
本来隠れ潜み、その実態を一切外部に漏らすことの無いオーオタ達が<br />
こうして人々の前に現れることは極めて稀である、いずれ書き記すことになるだろうが<br />
オーオタには極めて厳しい戒律が存在し、それを破ることは己と己の機材の死を意味するからである<br />
<br />
遭遇後、曲折を経てト・ヨブレのオーディオの師となるが<br />
そのオーディオ暦は古参のオーオタ以外が死滅しつつある現代においては若手の範疇に入る<br />
しかしながら明確に自分の求めるオーディオのスタイルを確立させ<br />
それを実現可能な技量と経験を併せ持つ数少ない「一流」であり、一目置かれるゆえんである<br />
<br />
尚オーオタの世界はこうした特性上、伝道は世襲に頼らざるおえず<br />
新たなパダ・ワン探しもオーオタの義務の一つであり<br />
ト・ヨブレが目を付けられた経緯にはこうした背景も存在する<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/10</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%80%806%E8%A9%B1" />
    <published>2010-09-04T00:33:27+09:00</published> 
    <updated>2010-09-04T00:33:27+09:00</updated> 
    <category term="孤独のオーディオ" label="孤独のオーディオ" />
    <title>孤独のオーディオ　6話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[良い音楽を聞きたいという欲と<br />
良い機材で聞きたいという欲は、同じように見えて異なる物であるが、しかし<br />
<br />
良い音楽というカテゴリに機材という概念は存在しないが<br />
良い機材というカテゴリには良い音楽というものが存在する<br />
<br />
だというのに、両者の関係は密接のようでいて疎遠<br />
<br />
それを体言する存在<br />
<br />
音楽を聞くことを愛しながら、聞かせることを拒む者<br />
音楽を鳴らすという行為を愛し、しかし演奏を拒む者<br />
音というものを愛し、原音を望む者と望まぬ者<br />
<br />
<br />
オーオタ　　彼らはそう呼ばれていた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
孤独のオーディオ　6話<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
祖国厳島に帰国したト・ヨブレは労働した<br />
とにもかくにも労働した、目的はない　ただ何かに急かされるように働いた<br />
<br />
右も左もわからぬとはまさに、その様子を表すだろう<br />
<br />
そんな忙しく日々を過ごす彼だったが<br />
友人の大学組はいまだ学生であるから、比較的時間に余裕があれば夜中でも遊びまわっていた<br />
なんと落ち着きのないと、当時を思い起こせば赤面のいたりだが誰しも覚えのある時期だろう<br />
<br />
<br />
そんな折、ト・ヨブレはゴミ屋でついに少ない給金を使ってコンポセットを手に入れた<br />
<br />
それはオンキョーのミニコンポといっていいサイズのCD/MDコンポで<br />
今まで手に入れたものよりもずっと立派な作りのスピーカーがついており<br />
アンプも小型ながらも銀色に輝く、いかにも当時の彼からすれば高そうな感じがするものだ<br />
<br />
<br />
嬉々としてとして持ち帰り鳴らしたト・ヨブレの感動を言葉で表すのは難しい<br />
他人のもので聞くより自分の所有物となった物で聞く感動はより大きなものだ<br />
<br />
比較的ズッシリと重量が感じられるその2ウェイスピーカーは<br />
これまで段階を踏んで音楽を鳴らしてきたト・ヨブレをして、本来一気に満足にさせるに足る性能だ<br />
<br />
しかし、友人の高額セットを一度聞いたト・ヨブレはそれにあるアイディアを重ねようとしていた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
あの時、スピーカーはセットで買ったものではなく「別に買って繋げた」と言っていた<br />
<br />
そうたしかに運ぶ時スピーカーは「切り離せる」繋いでいる部分が取れるなら<br />
まったく別のスピーカーをつけても動くはずだ<br />
<br />
ゴミ屋には色んなスピーカーが大量に並べてある<br />
これを色々つけてみる、凄いスピーカーが見つかるかもしれない<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
オーディオにおける機材の定義とは<br />
<br />
音源入力装置(プレイヤー)から増幅装置(アンプ)につなげ、そこから再生装置(スピーカー)という流れが<br />
ごく一般的な音楽再生である、コンポシステムとはそれを一つの固体に固めたものにすぎない<br />
<br />
それら機材は本来個別に別れたものであり、接続端子の規格さえあればどんな組み合わせも可能だ<br />
スピーカーはその組み合わせの中でも特に、取替えて音の変化が最も顕著な存在である<br />
<br />
オーディオにおける音変化の優先順位は諸説あるが、部屋などの環境を除けば<br />
「スピーカー&gt;&gt;&gt;&gt;アンプ&gt;&gt;デジタルコンバータ&gt;&gt;プレイヤー&gt;&gt;ケーブル類などの補機類」となる<br />
<br />
オーディオは入手した音源そのものを改変して音を良くするわけではない<br />
DAC(デジタルオーディオコンバータ)は音源を改変するための機材ではないからだ<br />
<br />
出口優先という合言葉があり、まずもって簡単に音を変化させようというなら<br />
まずスピーカーの側から物事を考えよという思想である、これはまったくもって正しい<br />
<br />
<br />
<br />
きっかけがあったとはいえ、これに一人でたどり着いたのは賞賛に値することだろう<br />
<br />
しかし、人知れずしてオーオタ修行の大事な転換点に立ったかと思われたト・ヨブレは<br />
<br />
<br />
見事に盛大にガーターをかました、それはもう球速60kmでレーンから外へ飛び出すくらいには<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
具体的には、スピーカーを「交換せず」に「2セット繋げた」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
なんとすごい　音がどんどん俺を覆うように出てくるぞ　これはすごい<br />
できるかもと思ってやってみたらできた　やっぱりスピーカーは「増やせる」のだ<br />
<br />
これはすごい発見だ　これならもしかして大きなスピーカーに小さなスピーカーを<br />
合体させてみたりとかもできるんじゃないのか<br />
<br />
そうすれば大きい物が低音を出して、小さいものが高音を出すようになるのではないか<br />
<br />
<br />
どうだジ・マール　すごい臨場感だろう　かっこいいと思わないか？<br />
<br />
「そんなことよりメカっ娘書こうぜ★　俺このエロ・ドウジン見てると興奮してきちゃったよ★」<br />
<br />
命がいらないようだな<br />
<br />
「まてよせ俺はだなヒートアップしたお前のお熱をクールダウンしようとd　アワビュー!!」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
哀れな友人が職業柄ついた筋力で折りたたまれ、箱に格納されるという惨めな最後を遂げる頃になると<br />
ト・ヨブレの音楽環境は奇妙な姿となる<br />
<br />
メインとなるコンポの本体に2ウェイと3ウェイのセット4つのミニコン用スピーカーが接続され<br />
何をどう間違ったのかPC88proが赤白線でPCと繋がる合間に接続されるなど<br />
現在のト・ヨブレが見れば呆れるであろう無茶な構成である<br />
<br />
後に知ることだがPC88proは音楽製作機材であり　オーディオデバイスではなく<br />
間に入れたからといって一切音が変化する接続方法ではなかったのだが<br />
いかにもスイッチが一杯で、ステレオに拘っている雰囲気が　ト・ヨブレの所有欲を満たした<br />
<br />
比較的頑丈な本棚の中にスッポリと納まるその姿は自画自賛ながら収まりよく<br />
頭上から降り注ぐようにおりてくる複数の音に大満足であった<br />
<br />
<br />
無茶な使い方のためにコンポが青吐息で、大した出力も出せていないことには全く気づかずに<br />
<br />
<br />
スピーカーを大量に繋げる端子があるAVアンプというものもいいなためしてみるかと<br />
多スピーカー主義真っ只中のト・ヨブレは楽しさを感じていた<br />
<br />
スピーカーをとっかえひっかえにし、ゴミ屋で低額で機材を入れ替える楽しさに<br />
物置に溜まっていく粗大ゴミならぬスピーカー達はとりあえず見なかったことにして<br />
<br />
<br />
<br />
同時期にト・ヨブレはドウジンCDを大量に買いだした<br />
それまでは「黄昏」のエロ・ドウジンぐらいしかあまり手をつけなかったのだが<br />
インターネットでサイトからダウンロードできるMP3の魅力に取り付かれ、買うものの比率は逆転した<br />
<br />
そのころはネットラジオも盛んであったことから<br />
ラジオトークのあまりの卑猥さに心が動いたエロ・ドウジン屋ヨフ・カシ<br />
CDを出す前からMMORPG「黄昏」絡みだったキ・シーダや<br />
ドウジンCDでジャズとか珍しいと手に取ったコ・ボーネなどと知己となったのもこの頃である<br />
<br />
そんな毎日が活力に満ち溢れていた時間<br />
それがずっと続くのではないかと思われたかにみえた<br />
<br />
オーディオという単語に　コンポ以上の認識を持たなかった<br />
<br />
<br />
<br />
夏の暑い陽射しも少し収まろうかという頃<br />
<br />
20の夏から秋へと時が変わる時期<br />
<br />
彼は出会ってしまうのである<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
ことあるごとにゴミ屋で新たなスピーカーを仕入れ<br />
入れ替え入れ替え楽しんでいた彼は、新たなスピーカーが無いかと足を運んでいた<br />
<br />
いつもどおりのゴミ屋、リサイクルとは名ばかりの粗大ゴミ置き場<br />
食品と家具コーナーを通り抜け、何時もの家電コーナーの隅に立ち寄ったト・ヨブレは<br />
手に取ったスピーカーのサランネットを外し、ユニットの状態を見ていると<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
何故か寒気を感じた<br />
<br />
<br />
視線を感じるのである<br />
<br />
<br />
ふと後ろを見ると、そこには男が立っていた<br />
<br />
痩身痩躯のその男は感情の読み取れぬ顔をしていた<br />
だが、目には得体の知れない力が篭っている<br />
<br />
視線はその男からのものだ、しかし知り合いでは当然ないし関係があったという記憶もない<br />
<br />
しかし彼は視線を外すことはない　ただ何でもないようにト・ヨブレに視線を当てている<br />
<br />
雰囲気が　異常だった、視線が一度ぶつかったというのに気にもせずこちらを伺う男は<br />
到底カタギの存在には思えない、威圧感ともしれぬ奇妙な空気を纏っている<br />
<br />
周囲には誰も居ない、奇妙な空気を察したのか他の客は居なくなっていた<br />
<br />
<br />
スピーカーを見るのを切り上げ、立ち去るべきかと考えた所に先んじて<br />
<br />
ついに男は3歩ほどト・ヨブレに近づくと口を開いた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「カレーを食いにいかないか？(*&acute;Д`) 」<br />
<br />
<br />
な、ぁ　　ぉ　　　　　え？<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
用語解説<br />
<br />
<br />
<br />
ウェイ<br />
<br />
<br />
スピーカーのユニット搭載形式を指す言葉　ｵﾝﾄﾞｩﾙライダーの鳴声でもある<br />
<br />
スピーカーユニットは再生する周波数ごとに分類され<br />
<br />
フルレンジ - 全帯域用（50Hz～15kHz）<br />
スーパーウーファー - 超低音用（1Hz～100Hz)<br />
ウーファー - 低音用（20Hz～5kHz）<br />
ミッドバス - 中低音用<br />
スコーカー - 中音用（500Hz～5kHz)<br />
ツィーター - 高音用（5kHz～24kHz）<br />
スーパーツィーター - 超高音用（25kHz～100kHz）<br />
<br />
これらを組み合わせ<br />
ツィーター+ウーハー＝2ウェイ<br />
ツィーター+スコーカー+ウーハー＝3ウェイ<br />
という具合にスピーカーの構成を決定する<br />
<br />
フルレンジは通常一発のみで使用され、内部回路(ネットワーク)を必要としない(1ウェイとは呼ばれない)<br />
<br />
ウェイ数字が小さくなるほど制御が容易になり多くなるほど鳴らしにくく制御しにくいとされるが<br />
実際はスピーカーそのものの構造やユニット特性に依存するもので<br />
操作性は実際には、それほどの差異はない<br />
<br />
スピーカーユニットの数が増えることで駆動に必要な出力が大きくなるのは事実であり<br />
同時に複数箇所から音声を出す特性上、再生される音の位置を固定することが難しくなるため<br />
概ね操作性が悪化している、そういう意味では操作性に関係する評価は間違いではない<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/9</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%80%805%E8%A9%B1" />
    <published>2010-09-01T22:38:25+09:00</published> 
    <updated>2010-09-01T22:38:25+09:00</updated> 
    <category term="孤独のオーディオ" label="孤独のオーディオ" />
    <title>孤独のオーディオ　5話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[20xx年某月某日、エロ・ゲーの新作返還を待ちわびる男の姿がそこにあった<br />
待合室のソファーにもたれかかったト・ヨブレは疲れた様子のまま呟く<br />
<br />
<br />
遅いじゃないか・・・クローツキン<br />
疾風(早漏)イワンの、大層な呼び名に恥ずかしいだろう・・・<br />
<br />
<br />
<br />
購入早々、エロ・ゲーをレポートコピーの借りとして奪われたト・ヨブレは<br />
諦めの混じった台詞を呟くと、そのままソファーで友を待った<br />
<br />
<br />
彼の新たな友人、クローツキン・ノミネンコフは<br />
<br />
僅か7日で20本のエロ・ゲーを攻略すると謳われた<br />
極寒シベリアの血を持つ、速戦の麒麟児である<br />
そのキャラ攻略における緻密さと迅速さでは、友人達の中で他に並ぶものがない<br />
<br />
そんな彼はト・ヨブレからかすめとった大ヤクザを僅か5時間で攻略すると豪語し<br />
その期日にあわせてト・ヨブレを寮の一室に招いていたが<br />
<br />
その日、ついにクローツキン・ノミネンコフは5時間の期限を守ることは出来ず<br />
ト・ヨブレは失意のまま自室に戻ることとなった<br />
<br />
<br />
<br />
彼が今だオーディオに、それほどの熱意を向けていない時代の一幕である<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
孤独のオーディオ　5話<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
2年の監獄生活の中で、ト・ヨブレがオーディオにおいて学んだものは少なかった<br />
ミニコンポの存在にとりあえず満足し、それが個人の自由が保障されない空間において<br />
けして無秩序に使うことが許されないことを悟ったからだ<br />
<br />
その間彼はかつて覚えた、音楽への感動を忘れ去り<br />
何処にでもいるただのエロ・ゲマーと成り下がっていた<br />
<br />
事情を鑑みればやむおえぬところもあっただろう、しかし<br />
その2年という時間を無為に使い切ったことを悟った時、ト・ヨブレは大いに後悔することとなった<br />
<br />
<br />
オーオタにとって時間とは、すべからくゆっくりと流れるものである<br />
<br />
オーディオ機材が販売される間隔はそれほど狭いものではない<br />
必要な機材を購入するための大金も、時間をかけて蓄積せねばならないからだ<br />
<br />
しかしそれはオーオタとなってからの話<br />
ト・ヨブレが安易に過ごしたその年代は高性能でしかも安価な良質の機材達が<br />
数多く生産終了した年であったため、後日オーオタとなったト・ヨブレは血の涙を流したものである<br />
<br />
<br />
事実この時、最終ロットの機材達をセールで得られていたら<br />
ト・ヨブレのオーオタとしてのスタートは大いに機材的に充実していただろう<br />
<br />
そして狭量な視界のまま、大した研鑽を重ねることなく一介の3流オーオタとして<br />
オーディオの深遠に触れえぬまま、平凡な人生を送っていたことだろう<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
それを気づかせたのは皮肉にも一人の3流オーオタの姿だった<br />
いや、オーオタとはよばれないだろうし、彼もそう自称はしないだろう<br />
<br />
<br />
彼はその監獄で貴族に位置する存在であった<br />
裕福な生家を持ち、監獄の中にその身をおく事をよく周囲から訝しがられたものだ<br />
<br />
彼の趣味は自称するところオーディオであり<br />
傍目から見ても高額そうなオーディオセットを狭い部屋に押し込んでいた<br />
<br />
<br />
機材の価値を言外に自慢する彼だが、しかし人間としては誠実な男であり<br />
だからこそト・ヨブレと友人となりえたが<br />
そのオーディオ機材の扱いは、当時何も知識のない彼ですら眉を顰めるものだ<br />
<br />
<br />
<br />
ステレンレスラックにコロ足のついたそれは土台としてはあまり良いとはいえず<br />
無秩序にその上に重ねられたアンプ類とプレイヤー<br />
あろうことかその機材に乗せられたスピーカーの姿は素人目に見ても美しくなかった<br />
<br />
友人はお世辞にも美的センスに優れているとはいえなかったが<br />
<br />
今のト・ヨブレが見ればB＆Wの小型スピーカーとマランツのセットと看破したそれは<br />
確かにそこそこの品質なものである、格を見る目は大きく的を外さなかったようだ<br />
しかしそれを選んだことは正解であり、同時に失敗でもあった<br />
<br />
<br />
<br />
オーディオ界における定番的な組み合わせといわれるB＆W+マランツだが<br />
<br />
その定番さに反して、いずれもオーオタとしてすら使い手を選ぶ機材達であり<br />
そも本格的オーディオシステムをミニコンポと同次元の使い方をする状態で<br />
その価値が2割も出ているとは言いがたい<br />
<br />
オーディオという存在が「ただ置けば鳴る」というものでは絶対ないことを<br />
皮肉にも機材を愛し、良い音が出ると喜ぶ彼が証明していた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
たしかにすばらしい、これがいいコンポというものか<br />
<br />
「そうだろうト・ヨブレ、気に入ったCDをいれてもいいぞ」<br />
<br />
ありがたい、その申し出を受けよう<br />
しかし、妙にラックが震えるし　見るからに安定しておらんようだが<br />
<br />
「コロはロックしてあるから気にすることもないだろう、それに見た目より重いから落ちることもない」<br />
<br />
たしかに落ちてはこないだろうが・・・<br />
<br />
<br />
「なに大したことではない気にするなト・ヨブレ、それよりどうだワインが手に入った<br />
このご時世だ、ろくに美味いものも手にはいらんだろう、どうだ共に」<br />
<br />
卿(けい)は俺が下戸と知ってそれを勧めているだろう、悪趣味なことだ<br />
<br />
「少しは飲めるだろう？<br />
一人でこれを胃に満たすには味気ない、たまには付き合うのも友人付き合いというものだ」<br />
<br />
やれやれ、そうまで言われて断ることができぬだろうと卿はよくご存知のようだ、もらおうか<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
彼は幸か不幸か、おおらかで物事を気にしない男で<br />
大きなシベリアの大地の血がそうさせるのか、クローツキン・ノミネンコフは得がたい友人であった<br />
<br />
ト・ヨブレはたしかに信じがたいほど高音質なそれを聞いて驚きはしたが<br />
音と一緒に肥満体の腹肉もかくやと震える機材達とラックに意識を大きく取られた<br />
<br />
オーオタならば、それが異常なことであると悟ってしかるべきだろう<br />
しかし彼は残念ながらオーオタではなかったし<br />
部屋に響きわたるブーミー音や、後にフラッターエコーと呼ばれる異常にも<br />
一切気を払うことはなかった<br />
<br />
それは同時に隣人をも気にせぬということであったから<br />
当時の彼の隣人達はまさに極限の中で生活することを、やむおえず強いられたことだろう<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
2年という時間は短い<br />
気がつけば訓練期間は終了し、本格的に己の道を模索しなければならなかったト・ヨブレが選んだのは<br />
友人達の誘いを断っての、恋しい祖国への帰還であった<br />
<br />
永遠に友人達と騒いでいられるほど、人間の生は幸福にあふれてはいない<br />
得がたい友人との関係は一生続くかもしれないが<br />
伴侶との関係も一生となるかは当人努力次第であるのがいい例だ<br />
社会人としての立場を得るということはこれらの取捨選択を迫られる一つの時期であり<br />
それを否というなら、自由人としてそれなりのリスクを選び、自由人なりの責任を負うのである<br />
<br />
<br />
社会人としての利点は労働の対価が比較的安定しているという点だ<br />
労働し、対価を得てそれを何に使って生きるかはそれぞれの自由であるから<br />
<br />
まだ見ぬ労働の対価とやらが、求人情報でみるよりも実はずっと少ないことをまだ知らない<br />
若干20のト・ヨブレはありもしない大金の使い道を考え続けていた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
いよいよ働いて金が得られることとなった<br />
労働するのは恐ろしいが、それより小遣いに頼らずとも大金が手に入る、それが重要だ<br />
<br />
さしあたってあの機材のようにいい音がでる機材が欲しい<br />
まさかあんなすごい音を出すコンポが存在するとは<br />
<br />
聞くにあれはミニコンポのように一式ではなく<br />
個別に分けて売られているものを合体させているコンポらしい、しかもメーカーは問わぬそうだ<br />
<br />
<br />
そういえばゴミ屋にミニコンポだけでなく、色々置いてあった気がする<br />
あのコンポにくらべれば小さいが、ちゃんと3段か4段くらい機材が重ねてあった<br />
<br />
きっとアンプとCDプレイヤーと何かよくわからないものに違いない、あれがよい<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
未来への期待を胸にト・ヨブレはついに祖国へ、帰還の途についた<br />
<br />
幾度となく足を運ぶことになったそのゴミ屋で<br />
まさしく彼の人生を変える存在に出会うだろうことを、ト・ヨブレはまだ知らない<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
人物紹介<br />
<br />
<br />
<br />
クローツキン・ノミネンコフ<br />
<br />
<br />
ロシア人の冷たい血が4分の1流れる巨漢、あまり祖父の面影はない<br />
裕福な家庭に生まれながらオ・タクーへの道を選んだ異端者<br />
疾風(早漏)イワンの異名を持つ、一代の豪傑である<br />
<br />
オーオタではなく一般的にオーディオ好きというレベルに留まる人間の姿そのものであり<br />
本来エコノミーより少し上のオーディオ機材を購入消費する一般的市民としてあるべき姿<br />
<br />
こういった人々の提供する資金こそオーディオメーカーの命綱の筈であったが<br />
その連鎖が断ち切られ、オーディオに人々が興味を失った時暗黒の時代は到来した<br />
<br />
所持していた機材はB＆Wのローグレードスピーカーとマランツの小型アンププレイヤーセット<br />
オーオタから見ればエコノミーの部類だが<br />
一般市民からみれば十分高額の範疇に入るだろうことは明白である<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/8</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%80%804%E8%A9%B1" />
    <published>2010-08-29T00:54:40+09:00</published> 
    <updated>2010-08-29T00:54:40+09:00</updated> 
    <category term="孤独のオーディオ" label="孤独のオーディオ" />
    <title>孤独のオーディオ　4話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[エージングという言葉がある、これは諸説様々だが「慣れる」という意味であろうと思う<br />
<br />
オーディオはこのエージングと呼ばれる「慣らし」があって始めて完全になると言われているが<br />
たとえ機材がその環境に「慣れて」本来の性能を発揮したとしても<br />
<br />
聞く側である人間が「慣れていない」のでは意味がまるでない<br />
<br />
どんなに高額のすばらしい機材をいくつも得たとしても<br />
使う側の人間がエイジングされていなければ宝の持ち腐れである<br />
<br />
オーディオはたとえどんな願い、希望を人から向けられても<br />
けして妄想に答えることはない、オーディオは使われる道具にすぎないからだ<br />
<br />
<br />
<br />
孤独のオーディオ　4話<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
尾張、現在の愛知県味噌市にほとんど身の着のままト・ヨブレは降り立つ<br />
<br />
学校に現れた悪魔のような面をした人身売買官に脅しつけられ<br />
アスランの傭兵になるかのような面持ちで自ら赤紙にサインをした彼の荷物は財布だけだった<br />
<br />
現在も続くこのマンハントによって刈り取られた未来の歯車候補達は<br />
見渡す限りの畑しかない土地に投げ出され、監獄のごとき厚い壁と正門に守られた<br />
訓練施設へ投げ込まれ、2年の月日を送るのだ<br />
<br />
<br />
あまりの事態の急変ぶりに思考のおいつかなかったト・ヨブレが<br />
身の着のままであったことを咎める者はそこにはいない、周り中そんな食い詰めた連中ばかりだった<br />
<br />
口に出すことも憚られる環境での生活は苦痛の一言である<br />
飢えと食中毒との狭間に生きた当時、しかし生きる活力に満ち溢れ<br />
<br />
<br />
具体的には若いエロ・ゲマー達は少々過酷な環境でも生存するということだ<br />
<br />
<br />
<br />
収監から一月もたてば、流石に部屋に物がないことを苦痛に感じるだろう<br />
<br />
ト・ヨブレが実家に送ってくれるように頼んだのは<br />
当時、米と味噌汁しか危険なく食えるものがなかった状態ですら<br />
<br />
PCとミニコンポであった<br />
<br />
かつて電撃PSを買い集めていたト・ヨブレは、しっかりオ・タクーになっていた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
寮生活の大きな問題は部屋の狭さと壁の薄さである<br />
<br />
レオパレスどころか殴れば穴が開きそうな薄い壁に向かって音楽を流そうものなら<br />
低音どころかメロディが聞き取れる有様だ<br />
<br />
実家のマンションのように壁と床がコンクリートでしっかり作ってある訳もなく<br />
当然出せる音量にも大きな制限がついた<br />
<br />
ヴォリュームを絞らなくてはいけない、という経験はト・ヨブレにとって初めてのことだ<br />
<br />
そんな苦労を、どういうわけか同時に拉致されていた義理の兄弟に語って聞かせた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
兄弟、これはゆゆしいことだ音楽がまるで聞けない<br />
それに隣の部屋から小意気なラップが聞こえてくるのだ、それもどうやら本人だぞ<br />
<br />
「それは僕も感じているよ兄弟<br />
なにせロリ・アニーメを見ようにも隣からオ・ナンニの様子が実況中継だ、心が折れる」<br />
<br />
壁がまるで意味をなさない、これではエロ・ゲーどころのか黄昏もできない<br />
<br />
<br />
「しかしまだ僕達兄弟はいい、ここはこれでも一番いい部屋らしいから」<br />
<br />
別寮の連中は二人部屋だ、お互いオ・タクーならいいが一般市民とセットになった日には<br />
<br />
「悪夢の日々が僕達を襲うだろう、すぐにでも脱走しそうだ」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
プライベートがダンボール並の壁で覆われただけの2年間<br />
ト・ヨブレのオーディオ生活は停滞の極みにあった<br />
<br />
スピーカーで音が流せないのだから、それは仕方のないことだったが<br />
この圧迫された環境で学んだ大事なことが一つある<br />
<br />
低い音は壁を貫通しやすく、高い音はそうではないということだ<br />
<br />
<br />
音が振動でどうのこうのといった知識は当然当時のト・ヨブレには無い<br />
ただ　聞こえてくるものが全て<br />
隣から聞こえる小意気なラップよりも、映画の唸り音のほうが頭にきたというだけの話だ<br />
<br />
<br />
<br />
オーディオをスピーカーでする<br />
<br />
それは環境に最も左右される行為といっても過言ではない<br />
音声を空間そのものを利用して表現するオーディオにとって<br />
<br />
薄い壁やわらかい床がどれだけ悪影響を及ぼすか<br />
どれだけ地域住民の皆様にご迷惑をおかけすることになるのか<br />
<br />
オーディオは棲家に依存する、これはどうとりつくろっても揺るがしがたい事実なのだ<br />
<br />
当然それらを最大限工夫し、最良を目指すこともオーディオの技ではある<br />
事実ト・ヨブレの現在の棲家は6.5畳間であるが立派にオーオタの部屋である<br />
<br />
しかし、たとえどんな使いこなしの技術の粋をこらしたとしても<br />
建物が持つ物理的限界を超えることはできない<br />
<br />
<br />
多くのオーオタが棲家を探すとき<br />
壁や床を実に丹念に叩いている光景は、非常によくみるものだが<br />
<br />
その拳で叩く小さな音には、これら苦い経験の一つ一つが詰まっている<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
そんな彼が当時対抗策として考えた策の一つがヘッドフォンだったが<br />
メガネ族のト・ヨブレはそれを装備すれば苦痛を浴びるだけである<br />
<br />
それにスピーカーから再生される、音が広がる様を知った後では<br />
今更イヤホン同様、耳に直接音を流し込むことは憚られた<br />
<br />
結局隣人の居ない時間を利用するという逼塞した生活が続くのである<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
そんな米と味噌だけの生活に慣れ始めた頃のある日<br />
義兄弟と味噌市の中央区に出向いたト・ヨブレはオ・タクー問屋へ向かっていた<br />
<br />
味噌市の人の海を掻き分けて電気街を歩く中、突然ポッカリ人の居ない空間に出る<br />
そこには小汚い暖簾に、薄汚れたシャッターが半開きになった寂れた店<br />
<br />
人が避けるようにしてその店先を通り過ぎていく中、ト・ヨブレは立ち止まった<br />
<br />
<br />
店先に並んでいたのはどれも大きな直方体で<br />
彼の目がそれを捉えた時何かは判らなかった、店頭の少しに奥に鎮座した巨大な家具のような物体<br />
<br />
長年の使用感が染み付き、排気ガスにまみれ<br />
人々の喧騒の中に埋もれながらも雄雄しいその姿は、今も思い出すことが出来る<br />
<br />
<br />
ト・ヨブレはそのとき、疑問と興味を覚えつつもそれを知ろうとはしなかった<br />
<br />
彼の興味は運命という名のエロ・ゲーに向いていたし<br />
<br />
それが、スピーカーとは気づかなかったからだ<br />
<br />
<br />
<br />
ト・ヨブレはそれに背を向けて歩き出した<br />
<br />
その現物を目でみることができた唯一の機会であったと惜しむのは<br />
立派なオーオタとなった頃の話である<br />
<br />
<br />
その歴史を感じさせる巨体の持ち主は「オートグラフ」とよばれていた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
用語解説<br />
<br />
<br />
<br />
オートグラフ<br />
<br />
<br />
英国オーディオメーカー「TANNOY」が1953年から製造した極大型のフロア型スピーカー<br />
詳しい考察は様々なサイトにあるので割愛するが、信じがたいほどの巨大なスピーカーである<br />
<br />
オーディオという存在にステレオという概念が存在する以前、モノラルサウンドの時代<br />
スピーカーというものはすべからく巨大であった、これは当時の技術設計や概念では<br />
十分な音声再生をするためには箱そのものを巨大化させるしか方法がなかったためである<br />
<br />
スレテオに以降した後、とある革命的スピーカーの誕生から小型化の流れが加速する中でも<br />
ハイ・オーディオとしての大型フロアタイプスピーカーはカタログの中に健在であった<br />
<br />
オートグラフはその中でも異彩を放つ存在である<br />
<br />
有名人が使用していたなど有名になる機会が多くあったためか<br />
日本人オーオタにとって聞いたこともないのに音が神と安易に決め付けられやすい存在ではあるが<br />
工場全焼による絶滅の危機とその奇跡の復活など<br />
そのドラマチックなエピソードの数々は音楽性を抜きにしてもオーオタ達を魅了してやまない<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
  <entry>
    <id>concrete.blog.shinobi.jp://entry/7</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://concrete.blog.shinobi.jp/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA/%E5%AD%A4%E7%8B%AC%E3%81%AE%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%80%803%E8%A9%B1" />
    <published>2010-08-27T23:55:55+09:00</published> 
    <updated>2010-08-27T23:55:55+09:00</updated> 
    <category term="孤独のオーディオ" label="孤独のオーディオ" />
    <title>孤独のオーディオ　3話</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[人間の耳はよくできているもので、万人が音の優劣をある程度聞き分けることが可能だ<br />
よく音痴と言われる人々も、多くは音痴である部分は自分が表現する時のみに作用する<br />
人は生まれながらに良い音と悪い音の平均的区別がつくものなのだ<br />
<br />
自分の耳はどんな音も聞き分けると大言を口にする人間は二種類いる<br />
<br />
音を聞く訓練を自らに課し、聞き分けるという行為を意識して行う者と<br />
ありもしない妄想を、さも聞き分けているフリをして取り繕う人間である<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
孤独のオーディオ　3話<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
その日彼が手に入れたのは、ごく普通のミニコンポであった<br />
お値段僅か1万4千円、ケンウッド製のスリムな本体とスピーカーを持つ当時でさえ数年型落ちの中古品<br />
それでもよかった、たったそれだけでも・・・今までのあらゆる音が過去の物となった<br />
<br />
以来7年、幾度の転居をへて尚　　それは今だに我が家で健在である<br />
<br />
<br />
<br />
ミニコンポを手に入れてからト・ヨブレの生活は一変した<br />
<br />
それまでCDは一度PCに入れ、それからプレイヤーで再生するという流れだったものが<br />
コンポに入れるだけで再生可能な利便性は、一度取り込む手間をなくし<br />
気に入ったものをデータとして残すという方法に変わった<br />
<br />
PCを収めたラックの最上段に置かれたそれは手を伸ばせばCDを手軽に入れられ<br />
選曲もリモコンで手軽に行え、ト・ヨブレはその買い物を満足するに十分であった<br />
<br />
<br />
再び楽曲募集に意識が移ろうかというそんな時、少し変わった端子をコンポの裏に見つけたのである<br />
<br />
銀色のリングに赤と白のプラスチックの突起が2つ、白字で横に「AUX」と刻まれている<br />
中古の悲しさか、そのミニコンポには取扱説明書が無かったが<br />
しばしの検索の後それが「音声データを入力するための端子」であることに気づいた<br />
<br />
<br />
電撃のようにト・ヨブレの頭をアイディアが駆け抜ける<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
そうだ　これがあればPCで再生する音を直接コンポで流すことができる<br />
<br />
これはすごい発見だぞ　しかもこれならゲームをやっている音もここから出せる<br />
<br />
<br />
<br />
その事実に気づいた時、ト・ヨブレは只管喜んだ<br />
CDを楽しむばかりかゲームも良い音で楽しめるからだ<br />
<br />
それを既に悪友から盟友とよぶに相応しい関係になっていた男に<br />
ト・ヨブレは珍しく興奮した様子で告げた<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
これならどんなゲームもいい音で楽しめる、すばらしいことだ　卿(けい)もやろうとは思わないのか？<br />
<br />
「たしかによいことなのかもしれん、しかしト・ヨブレ・・・大事なことを忘れている」<br />
<br />
何を忘れていると卿はいうのか？　この事実を前にしてより大事ことなど見つからぬ<br />
<br />
「我々がやっているのはエロ・ゲーだということだ、よもや艶声を大音量で妹に聞かせるわけにはいかぬ」<br />
<br />
な、何を・・・<br />
<br />
「許せ、ト・ヨブレ　俺は未だに妹と部屋を同じくしているのだ、俺に兄としての面子を立てさせてくれ」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
以来、ト・ヨブレは彼にそれを勧めることをやめた<br />
音楽を鳴らすという行為は、周囲の人間にもそれを聞かせるということでもある<br />
<br />
自分が聞いているものが、他人にとって聞いてよいものである保証は無い<br />
まして中学に上がる手前の少女に聞かせてよいものであろう筈が無い<br />
<br />
彼は趣味を大事にはしても、兄であることは捨てなかった<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
盟友としての関係はその後も続いたが、別れの時は何時か訪れるものだ<br />
<br />
高校を終え社会に飛び出そうとする二人の最後の会話はごく短いものだったことを思い出す<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
「エロ・ゲマーとしての俺は今日死ぬだろう、これから俺は公僕として寮に入る　これも定めだ」<br />
<br />
そこまで思いつめることもあるまい、働くからできなくなるということがあるものか<br />
<br />
「いや、俺はいい兄ではなかったが　せめてこれからは家族が誇れる人間になりたいのだ」<br />
<br />
官憲が誇れる仕事だというのはわからなくもない、しかしそこまでする必要があるというのか<br />
<br />
「それは俺もわからん、まあこれからのことなど全部わからんさ　ト・ヨブレ、お前はこれから尾張か」<br />
<br />
そうなるな、まさか名前と同じ会社にいくことになるとは思わなかったが<br />
<br />
<br />
「官憲よりは稼げる仕事かもしれんぞ・・・そろそろ時間だ」<br />
<br />
そうか、お別れだな　名残惜しいが<br />
<br />
「ああ・・・　さらばだ、もう会うこともあるまい」<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
彼との出会いはエロ・ゲーよりもオ・タクーへの入り口よりも<br />
思えば大きなものをト・ヨブレには与えた、オーディオという世界の入り口はまだ影も見えていなかったが<br />
<br />
どちらにせよ、音楽に興味を持つ切欠を彼に与えたのは　オーオタでもバンドマンでもなく<br />
ただの家族思いのエロ・ゲーマーであった<br />
<br />
<br />
クラシックに興味があるからオーディオを始めました<br />
ジャズが好きで毎日聞きたいからオーディオを始めました<br />
大変結構なことだ、実に他人から見れば格好いい理由だろう<br />
<br />
しかし音楽を聴く、オーディオをする理由など何でもいいのである<br />
<br />
<br />
誰にはばかることは無い「聞きたい物をもっと良い音で聞きたい」ただそれだけが理由であってしかるべきだ<br />
<br />
<br />
今日ジャズ好きとして広く知られるト・ヨブレのスタートラインは<br />
自称高尚なオーディオ者には褒められたものではなかったが<br />
<br />
ただ自分一人が楽しむ、最もそれらしい理由であった<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
用語解説<br />
<br />
<br />
ミニコンポ<br />
<br />
<br />
本来オーディオシステムとは大まかに捉えて<br />
プレイヤー(音源入力装置)　アンプ(増幅器)　スピーカー(音声再生装置)　の3つで構成されているが<br />
オーディオとして完成するにはこの3つの別々の機材を個別に用意する必要があった<br />
<br />
これを簡略化し1つのセットとしてコンパクトに構成販売する目的で製作されている小型オーディオシステム<br />
スピーカーと本体が一体化しているものはラジカセに分類される<br />
<br />
オーオタの世界では安かろう悪かろうとして叩く対象　またはゴミシステムを指す隠語でもある<br />
<br />
しかしながら簡単にそれなりの音質を安価に入手できるというハイオーディオには無い絶対的特長を持つ<br />
これはまさしく音楽というものをより多くの人々に聞く機会を与えるための最高のスターターキットであり<br />
かつて世話になったであろうこれらを指して貶める行為はオーディオをする者として厳に慎まれるべきである<br />
<br />
ミニコンポの音に満足できなくなったその時、オーディオの世界の扉がようやく姿を現す<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>Siina daioujou</name>
        </author>
  </entry>
</feed>