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オーディオは宗教ではない、生き方の指針だ 門松を爆破せよ
Posted by - 2019.05.26,Sun
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Posted by Siina daioujou - 2010.11.02,Tue
音楽を聴くために必要なものは何かと問われるに

機材と答える人間は正直者で
お金と答える人間は相当にひねくれ者
オーディオと答える奴はオーオタだ

ではまともな耳と答えた人間は?

意外に感じるかもしれないが、障害は意外と身近なものだ
耳が聞こえない、聞こえにくい人間は大勢存在する

それが先天性であれ、後天性であれ
正常な耳は音と付き合うにあたって最も大切なものだ
それに気づかぬは健全者ばかりなり

私は彼の「それはいい音で鳴るのか」との問いに答える術をもたなかった

以来、急性難聴がどんな難病よりも恐ろしく感じるオーオタの日課は

一日2回の丁寧な耳掃除である





孤独のオーディオ 10話



ト・ヨブレはスピーカーの数が多いほど表現が豊かになるわけではないことを知った

皮肉にも彼が邁進していた道に逆行するかのごとく
わずか2つのスピーカーから出る音は深くそして豊かである

倉庫代わりの別室に山とつまれたスピーカー達はその瞬間、置物となり
沢山のスピーカーを使いまわして遊ぶ時間は終わりを告げたのだ

それはト・ヨブレの本当の意味での 「オーディオ」の始まりでもあった


そうなればAVアンプではなくステレオオーディオアンプが欲しくなるのは当然であるから
ト・ヨブレはオーディオアンプを手に入れる算段を画策し始めた

どういったものがステレオアンプで何があるからAVアンプなのか
どういったものがオーディオ用の機材たりうるのかを学び始めたのである


PCをエロ・ゲーと神々の黄昏のためにしか使わなかったト・ヨブレが
本格的にインターネットを本来あるべき用途に使い始めると
電脳空間の英知は思ったよりも不親切であることに気づく

機材の説明やスペックはいたるところにあり、メーカーだけでなく個人のサイトも多数あるのだが

「オーディオをどう使い、どうオーディオたらしめるのか」これがさっぱり無い

機材ありき、オーディオの来歴ありきのサイト達に見るべきものは少なかった
だがそれらのサイトは
彼らがどうオーディオに向き合っているかを伝えるものであって解説サイトではないのだから
今思えば当然であるし
オーディオのノウハウはあたら闇雲に公開するものでは無いことを知るのは後のことであるが
なんとも不思議なもどかしさを感じたものである


そうした鬱屈しとした状況を、身近にオーディオをしている人間にぶつけるべく
ト・ヨブレはカ・マーゲ亭に赴いた





ネットで書いてることはさっぱりわからないし、まずもって日本語が通じているとは思えない
とりあえずステレオオーディオのアンプに切り替えたいのたが、どうにもな

「オーディオが趣味ですなど言っているサイトをいきなり見ても意味などないよ(*´Д`)」

しかしいきなり何も判らないままではないか、卿は一体何を見てオーディオを学んだというのか


「いいかねト・ヨブレ、オーディオというのは音楽を聴く行為だ ただの画面を見ても何もわかりはしない」



ぐうの音もでぬ とりあえずモノを聞かねばならんか


「そうだね、昔はネットなんてまともになかったけど」
「今は色々解説が見られる これはこれで使わない手はない」
「ただ今見ても、何を言っているのか判らない(´Д`;) それは下地が何も無いからだ」

その下地は、基本的な知識?


「それもあるね、それと経験だろうか ト・ヨブレがまともなオーディオで音を聞いたのはここでだけだ」
「良い音とはなんなのか、自分の聞きたい音とはどんな感じのものか探してみるのもいいだろうヽ(´ー`)ノ」

つまり店へいって視聴しろということだな、小利口に考えるなと


「理屈は大事だ、指針の一つになるだろう ただ、データありきになるなということさ」


「さしあたってオーディオショップに招待しよう、丁度視聴会に招かれている」
「ト・ヨブレヽ(´ー`)ノ車をもて、それとそのみすぼらしいスニーカーは置いてゆけ」


やれやれ、店に出向くのに身なりを気にせねばならぬというのか

「視聴会は遊びじゃない、ジャージは禁止だ 背筋を伸ばせよ」





オーディオを学ぶにあたって自然とカ・マーゲはト・ヨブレの師となっていた
理攻めのオーディオ学と病気のオーディオ教 二面の均衡がとれたオーオタは貴重である
先立のオーオタとして、比較的バランス感覚に優れた彼はいい教師役に最適であり
オーディオという趣味の極端な面と、見るべきでない点に同時に触れることができた

これは自称オーオタに良く見られる、高額機材を求めるだけに終始したり
理解不能なインチキアクセサリの収集でシステムを圧迫するなどの愚かしい人々にできていないこと

「機材を使う」という行為と「最適な機材をそろえる」という2つの意味を理解する上で大事ごとであった


この二つの行為は理解されているようで現実との隔たりは遠い代表例である
どんな高額機材も道具として正道な使い方をしなければ実力を発揮できはしない

また、それらの機材は使う側に相応の理解を求めるものであるから
自身のレベルアップに合わせて相応のものに段階を踏んでいくべきである
それを怠った時、無用のトラブルで大切な機材を永遠に失うのである

それら専門性の高い機材は一般の家電と存在意義も必要な維持知識も冠絶している
ト・ヨブレにとってオンキョーアンプがそうであったように
せったくだからと奮発して買った機材が炎につつまれるのは悲しいことにちがいないのだ




さて、一般的エロ・ゲマーから一人のオーオタ(下忍)に出家しようかというギリギリのト・ヨブレにとって
オーディオショップの謎空間は恐ろしい存在でしかなかった
アルテックA7やタンノイを初め、想像だに出来ぬ音色と迫力を放つ大型スピーカーや宝石のような機材達
張られた値札の目玉の飛び出るような金額にト・ヨブレは愕然とするしかない

しかし聞ける音のすさまじさたるや、店の一角の開放スペースでしかないそこは音の神殿である

今現在でも時折冷やかしにいくそのオーディオショップは下取りした中古品をレストアして売っており
そういう意味で後年いくつかの機材を引き取ることにもなるのだが


意外にもト・ヨブレの最初のステレオオーディオアンプは その店で購入されたわけではない

たしかに興味をひいたものがあったことも確かだが
少ない給金のうち私事につかえる金銭は枯渇しつつあったのも確かであり
当時ならんでいたものでまともに買えそうな中古は
ソニーのラジオレシーバーくらいしかなかったという現実が苦しかった



そんなト・ヨブレが目をつけたのは、発展著しい個人取引「ヤフーオークション」

乏しいインテリジェンスを消費して発見したこの文明の英知は
以後様々な機材をト・ヨブレの手に届けることになる





その中でも特別な存在、ト・ヨブレの 最初のステレオアンプ



これがヤッホーオークション? なんとすばらしい たくさんものがあるぞ
何かいいアンプはいいものか、できれば安いものが良い どうせ最初だ
いずれ買いなおすことにもなるだろう、1万円以内でいい



それはまっとうな純正品ではなかった、それを見つけたのはほんの偶然
幾多のオーナーの手をわたる度に改修され、すでに原型をほぼ留めない状態になったそれは

かつて 僅か33000円という価格で世界を席巻した名機の一つ



ほう、若干改造してあるが大事に使っていました
私が始めて使ったアンプです、大事に使ってくれる人に・・・ なるほどこれは運命かもしれぬ
黒いボディに小ぶりながら大パワーとある、S6000を動かせるかもしれない これが良い



DENON PMA-390

その後マーク4になる四代目まで同フレームのまま進化と世代を重ね
19年たった現在もその名390を関した後継機を残す

プリメインアンプ 390シリーズの初代 PMA-390マーク1カスタムとの出会いであった






用語解説


急性難聴

オーオタが最も恐れる病の一つ、理由は自明 耳を失ったオーオタは生きることが出来ないからだ
いかなる音を出そうと聞き取れねば意味はない
生きがいを失い、生を儚んで自決するオーオタもいるほどである

急性難聴は現代において尚、原因不明の病である上 治療法も明確なものは存在しない
症状としてはひどく疲れていると唐突に方耳が聞こえなくなるといったものであるが
この症状が出た場合絶望せず、何にもおいて速やかに専門医に一秒でも早くみせる必要がある

これは初期治療の速さで完治するか治らないかが決まるからだ
一週間以内がタイムリミットであり それをすぎても放置していると復帰はほぼ絶望的である
早期投薬と休息、血流をよくし暖めること 方耳になりたくなければ絶対に動くべきである




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Posted by Siina daioujou - 2010.09.23,Thu
たとえば想像してみるといい
自分にとって理想の音とは何か

好きなジャンルは何か、好きな楽器の音は何か
あえて言うなら好きなアーティストでもいい
個人個人音には好みがあるはずだ

人生において1度くらいは、良い音でこれら好きな音楽を
今より良い音で聞いてみたい、そう思ったことはないだろうか?

しかし何時しかそれを人々は忘れるだろう
要因は様々、環境・お金・家族 あるいは音楽という存在を忘れることもあるだろう

安価なデザイニングポータブルプレイヤーがステイタスとして確立し
音楽はそれで十分と思ってしまうこともあるだろう

その人々にとってはそれで十分なのかもしれない 十分だったのかもしれない



だが忘れられない、彼らは 我々は

もっと良い音で もっと良い曲を あの名曲を今一度最高の環境で
もっともっと、その欲が彼ら突き動かす

たった一つ「良い音を聞きたい」それだけがために

それだけが動機で、それだけが全てで それ以外はあらゆることが無価値がゆえに





孤独のオーディオ 9話




初めての大型スピーカー「S6000」を手に入れたト・ヨブレはその恐ろしい音に震撼した

たしかにその巨大な、30センチはゆうにあろうかという大きなスピーカユニットから繰り出される音が
相当に大きく腹に響くものであろうということは予想していたが
ヴォリュームをあげるにつれてたたき出されるその低音に、ト・ヨブレは参ってしまった

恐ろしい迫力である

これがミニコンポなどとは違い、オーディオとして生み出されたスピーカーの力なのかと
驚嘆の限りである、ここまで巨大なスピーカーは生来見たことがないからだ


カ・マーゲの所有するオーディオスピーカー「BC2」よりも更に大柄なS6000は
3ウェイ構成にアッテネーターといわれる音調装置を内臓し
高・中・低の3音の何処を強調するか任意に決定できる機能を持っている

すなわちこれは高音がほしいと望めばツマミをハイにもっていけばよく
ボーカルを押し出したいと思えばミドルへ、低音はローへスイッチすればいいのである

60年代後半から80年代中ごろに至るまでは
スピーカー側にこのアッテネーターが内臓されている事が多かった

スピーカーだけでなくアンプにもトーンコントロールという名前で似た機構が存在し
元々はこちらに多い機構だが、価格の安いミニコンポでお目にかかることは稀である
当時機構的に貧弱だったアンプ側に依存させないためか、外部に搭載させる風潮だったのだろう

振動体であるスピーカー内部にこれら回路を搭載することは
音質の観点からすればあまり良いこととは言えないため、現在では内蔵型は一部を残し衰退したが
1967年製のS6000は黎明期のスピーカーであるから
当然調整部に周波数表の刻印つきでその存在を誇示している


驚くべきことにS6000は製造から40数年、数十年は使用されないという放置期間をへても
その動作は正常であり、アッテネーターも固着しておらず 全機能を使用することが出来た

スピーカーは意外と古くても動けば動くものなのだ
それがゆえに中古でアンプを買うよりは安全といわれるが
実際には経年劣化のダメージを受けにくいというだけで、劣化しないわけではない
何物も状態次第である





これはすごい なんという音だ
すさまじい迫力、低音 しかもサブウーハーのようなテンポのズレた下品な感じではない

しかも3ウェイだ これだけ古いのにまるでミニコンスピーカーが全く相手にならない
ハイもローも そしてミドル・・・というのかな 今まで気にしなかったが

とにかく不思議にミドルモードにすれば歌も聞き取りやすい
全く違う、こんなにも差がある

たしかにカ・マーゲの音は凄まじかった、あれにくらべばこれも・・・だが
これだってまるで相手にしてはいない、オーディオというものは こんなにも差が出るものなのだな




歴然であるその迫力がゆえに、ト・ヨブレは自然とヴォリュームをあげていった
それが後に起こる事件の引き金となるとは露とも思わなかった彼は
ひとまず訪れた自宅の革命に酔いしれた


その後、ト・ヨブレはある考えを思いついた

自分のアンプがAVアンプであることの特性を生かそうというのである
当然多スピーカーとはいってもマルチチャンネルデータを再生しているわけではないから
サラウンドとして再生しているわけではないのだが

サラウンドシステムはスピーカーを四方に配置し、それら全周から音を出すものだと知った彼は
自分の家でやりたくなったのである、AVアンプユーザーであれば当然の反応であろう


最も大きなS6000の上にサンスイ3ウェイを乗せ、更に上にオンキョースピーカーを乗せるという
信じがたい超時空音響要塞マクロスと化していたそれはトランスフォーメーションを果たし

ダイダロスアタックもかくやという左右に広がった配置をとった 正に強行型である

オンキョースピーカーを横に寝かせて本棚の中に入れることで見た目よく
本棚から張り出した両翼の棚上にサンスイを、そして
その棚の下に本棚の構造材で覆うようにガードされたS6000
部屋を格好よく見せながら 多スピーカーらしい配置を実現し ト・ヨブレは満足の極みにあった

前から広く放射される音楽は臨場感たっぷりで心地よく
大型スピーカーからはじき出される低音は腹の底に響き渡った


感動の極みである彼はどんどんヴォリュームをあげていく
そしてその日も気分よくアンプのヴォリュームを捻ったそのとき

マンションの内線がけたたましい音を立てていることに 辛うじて気づいたのである



そう初めての騒音苦情だった





不思議だった、全く納得できないのだ

何故ならト・ヨブレにとっては「以前ほど音をだしていない」からである

S6000を導入する以前の方がむしろ音は大きかった筈だ
ヴォリュームだって今のほうがむしろ低いぐらいで、実際自分で聞いていても
ヴォリュームをあげないと「なんとなく音が判りにくい」くらいだ

たしかに大きなスピーカーがあるから低音はでる、そのことなのかもしれないが
それだって以前より少し強いぐらいだ、内線がかかってくるレベルとは思えない

疑問は膨らむばかりである



そんな折、カ・マーゲが外食のため車の迎えを要求したので
よい機会であるから、話を聞いてみることにした





こういうことなのだカ・マーゲ、まるで不思議なことだ

「クレームつけられるほど爆音ってどんだけだね(´Д`;)」
「しかしまぁ こないだ見た様子じゃ無理もないだろうね」

どういうことか? 卿は何故見ただけで判るというのか

「そりゃああれだけ条件が整っていれば、出る音くらい察しはつく ヽ(´ー`)ノ 」

「何故かなどいうまでもないことだ、ト・ヨブレ うちでもう一度音楽を聴け」




彼はそう言うと、いつも聞いているCDを持って家に上がれと促した
カ・マーゲは疑問に対しては初め、明確な回答はしてこない
答えを知りたいなら聞けということだ、ヒントを与え自己解決を求める

あるいは考えることを促しているのかもしれなかった




何時もながらいい音だ、これでやられては流石に家が霞む

「そうだろうさ(*´Д`)  だがそれだけじゃないだろう、どう思った」

どうといっても、只管音が良いとしかな・・・

「そうじゃないト・ヨブレ、良し悪しは問題ではない」
「音はどうだったかと聞いているんだ、どう聞こえた? どういう差があるんだね」


こっちはハッキリしている、なんというか音が輪郭があるというのか? わかりやすい

「そうだト・ヨブレ(*´Д`) 「わかりやすい」だろう? ぼやけた感じがしないだろう」
「ハイもミドルも判りやすいが、それ以上に低音はどうだ 家のようにボーンボーンと鳴っていないだろう」

まさに、なんか低音がブブブとかボボとかボーンとか そういう感じの音がしていない
スピーカーが違うからか? こっちはそういった音がない




そこまで喋った所でト・ヨブレはハッとした
奇妙な違和感に気づいたのである、一番ハッキリした違和感は音ではあったが
今度のそれはもっと広い範囲のものだ

そう音量が 小さい




いやまて、ヴォリュームをそんなにあげていないはずだぞ 何故こんなに聞こえる 何故だ


「気づいたか、そう実は今それほど音量を出してはいない しかし音楽は判りやすいはずだ」

そうだ、うちよりずっと小さい音だ なのに何故こんなに繊細なところまで判る?
システムの値段が桁違いだとしてもこれほどまでに差が出るものなのか

「それは違うト・ヨブレ、君の家でさえ これに近い状態に本来はあるはずだ」

では何故、我が家はああなってしまうのか 何が間違っているというのか?


「近隣にご迷惑をおかけしているのは、まぁ低音が主だろうということ察しているな?」
「そして低音には良い低音と悪い低音が存在する、前者が我が家で後者が君の家さ」

・・・


「何故そうなってしまうのか、原因は複合的でどれが というわけではないが」
「そう、しいていうならば」

言うならば?



「出る音の数が、多ければ良いというものではないだろう」






カ・マーゲはそれ以上語ろうとはしなかった
だが重大な、重大すぎるヒントには違いない、最後の一言におそらく集約されているだろうからだ

悪い低音をだしてしまう、それが苦情の原因
そして、音がわかりにくい原因 全てが繋がっていると言いたげな台詞回しから察するに
間違いなく、要となるのは低音であろうからだ


ト・ヨブレは帰宅すると音楽をかけながら、機材を睨み 意識を集中した
そしてカ・マーゲの家で聞いた音とすり合わせ、違いを感じようとしていた

しかし結果は無常である、差がありすぎて違和感ばかりが耳につく

しかし低音をイコライザーで調整したところで違和感が強くなるばかりだ
一体何が足りない、何処を間違えているというのか、悩み続けた




もっとだ 考えよう、何が違う?
音だけじゃない、機材も・・・機材・・・?

そうだ、構成に大きく違いがあるではないか 俺はスピーカーが6個
あっちは2つじゃないか、しかし全く何もかもがあちらが上だった 2つだけなのに臨場感ですら

これのことではないのか「出る数が多い」というのは スピーカーの数のことを言っているのではないのか

まず2つにしてみよう




その結果は、不思議なものだった
たしかに2つになり臨場感はどこかに消え、寂しくなった感じはしたが
もやはそんなことはどうでも良いくらい「音が聞きやすくなった」のである

それだけではない、そのまま聞いているうちにハッキリと
今の方が音が良いのではないかと思えてきたのだ、何より違うのはS6000のウーハーが吐き出す音である
ボボボとくぐもった感じしか出せていなかったS6000は見違えるように伸び伸びと音を出している

今だにボヤついた感じは残るものの、先ほどとは全く違う
そしてヴォリュームも12時を過ぎずども、ちゃんと聞き取れる



これが答えだったのだ、ト・ヨブレは確信した


スピーカーの数が多ければ良いというものではない ということを








用語解説


アッテネーター

オーディオにおけるアッテネーターの役割は好みにあわせて出る音を調整するという存在意義を持ち
これらはアンプやスピーカーに搭載される場合、レベルゲージに合わせて調整できるよう
ツマミ形状のロータリースイッチで動作のON/OFFと調整を行う

アッテネーター本来の機能は減衰機であり、一定部分を増幅して強調するものではなく
むしろ一部分を下げることでコントロールしているのであるが
利用するにあたっては特定音域を強調するためのツマミだと認識していればわかりやすい


これらの回路は音楽データをアンプからスピーカーへ送る際にその間に入るため
これらコントロール回路を介することでの音質低下はやむおえない
ましてそこで減衰させてしまうなら尚更である

そのためアンプなどの機材では高級機器になればなるほど
これらの調整機構はなくなり、回路直結による音質劣化を防ぐ構造になっていく
パワーアンプなどにはヴォリュームすらついていないものもあるが、これも一例である

また前述の通り、イメージしにくいことだが回路にとっても振動は害悪であるため
振動媒体であるスピーカーに内臓されたタイプは時代の変化と共に消えていくこととなった



Posted by Siina daioujou - 2010.09.12,Sun
スピーカー それは特別な存在である

いわゆる家電 というには電子機器じみていないし
道具 というには汎用性に欠けている
置物としてみるならば正直、偽者と判っていても小伊万里の皿のほうが見栄えもよかろう

音を表現するという意味だけを持たされたそれらの製品は
驚くほどそれ以外の用途に使うことが出来ない

万能便利な道具はもてはやされ、多くの人に使われる アイフォンなどが良い例だろうか
しかし万能便利な道具はあくまで生活における道具でしかない

それ以外の何にも使えず、置き場も取る上生活の向上になんら寄与しない木箱達


だがそんな非合理な存在だからこそ  スピーカーは特別な存在なのだ





孤独のオーディオ 8話




人生においてこれまでかつてない衝撃にみまわれたト・ヨブレは
その若さゆえであったかもしれないが行動は迅速だった

オーディオというカテゴリにおいて
一般市民が見ることのかなわない領域があること
それが普段は隠匿されており、デュオデュオや巨カメラのような市民向け家電量販店には
それらの存在を置いている所は極めて稀だということなどを悟った

実際彼が出向くゴミ屋はあくまで場末のリサイクルショップであるし
近場の電気屋といえばあろことかアプライド(PC屋)である
そんなところに秘匿されしオーディオ機材があるはずが無い


大きな問題もある、ト・ヨブレの口座 その瞬間の残高は一万三千円少しである



社会人1.2年の頃を思い起こせば多くの人が金が一円も残らない生活をしていたと答えるだろう
その例に漏れず、ト・ヨブレはまさに社会の底辺といっても過言ではない有様であり
貯蓄などという言葉は己の辞書になかった、節約という言葉もついでにない

合言葉がウッヒョーコロスコロスの状態で、金が残っている筈も無かった



しかしそこで金がないからと諦めるような人間は到底オーオタになることはできない
現状の自分に許された最大限で現状の最良を求める精神をこそオーディオの教えであり
何も高額機材をいきなり買う必要などないのである

少ない金を使って「オーディオ」に近づくために何ができるのかをト・ヨブレは考えた

しかし答えは正直1つである「中古しかない」




当時の彼はまだオーディオという存在を知ったばかりで、モノを調べる知恵もない状態であるから
出口優先の思考もなければ、何がオーディオらしいオーディオなのかがまるで判っていなかった
指針こそ見えたものの、ようするにどの機材がオーディオ機材なのかさっぱりな状態である

そんなト・ヨブレはそれっぽい見た目のアンプを買うことから始めた




この黄金色に輝く、巨大な物体 これはアンプだ

まさにスピーカーを繋ぐ場所が大量についている これはすごいな
それに凄まじい重量だ、アンプというのはこんなに重いのか

それによくみたらCDを入れるところがない、MDもだ
これは最初から線で音を飛ばして再生させるものなのだ、これこそオーディオに違いない

それにこのスピーカー、カ・マーゲのあれよりは小さいがこの箱には3つスピーカーがついている
いかにもそれっぽい、これとこれだ 早く運ぶのだ、ジ・マール

「うっせ★ 俺は玩具コーナーに桃源郷を見た★ イケメン面の機関車達が俺の荒んだ心を癒す★」

奴隷に口など必要はないな

「やめろおまえ俺が何したって言うんだ僕はただトーマスのどや顔で世界にラブ&p ウワラバー!!」



友人をピラミッド建設の奴隷のごとく扱い、スピーカーを背中に抱えさせてト・ヨブレは帰宅した
残高全てを消費して手に入れたのは
ヤマハのAVアンプとサンスイのホーム用3ウェイスピーカーであった
正直何も知らずに買ったがゆえのニアミスだが
帰宅して鳴らしたト・ヨブレは、値段からみれば大成功だと大いに喜んだ

実際3ウェイスピーカーを使うのは初めてであるし
なにより人生で初めてアンプらしいアンプを手に入れたのだ

それにこれらの機材が後に大きなことをト・ヨブレに教えてくれるのである


さて、AVアンプにはある機能があることをご存知だろうか?
AVアンプをAVたらしめるそれはホームシアターシステムと連動するための
マルチチャンネル再生機能のことである、一般的には5.1チャンネルなどと呼ばれ
現在はステレオオーディオの世界よりもずっと、市民とって一般的オーディオである

当然、これに対応するからにはスピーカーを繋ぐための端子が複数ある
ト・ヨブレはそれに目をつけたのである


これまではLRの1セットしかない場所へ2セット分のスピーカーを無理やり差し込んでいたのだが

AVアンプにはなんとLR端子が2セットにリヤスピーカー用のR端子左右が存在する
つまり無茶をしなくても3セットで6発のスピーカーが同時に鳴らせるのだ
まさに多スピーカーに傾倒したままのト・ヨブレにとって神の贈り物である


とある事件のせいで、ト・ヨブレは無理やり1つの端子に詰め込むことの危険性に気づいたからだ







それはある休みの雨日和、いつもどおりスピーカーを多数つなげて遊んでいたある日

スピーカーをつなけばつなぐほど音が増えていくことを楽しんでいたト・ヨブレはある無理を通した
1つの端子に一体どれだけ接続できるかという無謀な挑戦を

最終的にオンキョーミニコンポにスピーカーを4セット8個接続し、CDを再生したその瞬間事件は起きた




ボォン!!            



リモコンを握ったままト・ヨブレはその光景が信じられなかった

それなりの大金を出して買った愛機オンキョーアンプが炎を噴きだしたのだ
激しい黒煙をしばらく噴出し、それは永遠に沈黙することとなった

原因はむき出しの銅線が接触したことによる短絡(ショート)である


そもそも8発もミニコンで動かそうというという状態がすでに様子がおかしいのだが
ともかく、その事件以来多スピーカーをするには端子が多くないとだめだという意識が芽生えていたのだ





晴れてスピーカー6発体制で音楽を楽しめるようになったト・ヨブレだが

そうなるとスピーカーそのものを収集しようという欲がでるのは当然のことだろう
それもなるたけ、大型のアンプに相応しい大きさをもった大型スピーカーを である



そしてそのスピーカーを1セット手に入れるアテは既にあった

祖父母の住む実家に帰省した際
物置同然に捨て置かれた一室の片隅に、あるものが置いてあったからだ

それは40年も昔のこと、オーディオ機材を持つことがステイタスとなりつつあった時代に
祖父がシステムごと買ったオーディオセットの一部である


実際にはアンプやレコードプレイヤーを含めて格納する専用ケースすら全て揃っていたのだが
アンプは電源しか入らず、テープやレコードは既に40年の歳月のため永遠に沈黙していた

しかしスピーカーは別である、薄汚れてはいたがユニットは3ウェイ全て健在であり
古いスピーカーにありがちなコーンエッジのゴムがポロポロで穴が開いているということもなく
布で作られたと思しきスピーカーコーンとエッジは40年の月日を経ても劣化は見えない

その自分の腰ほどもある巨大なスピーカーを引き取ろうというのだ



その大きなスピーカーの名は オンキョーS6000

初めてト・ヨブレが手に入れたオーディオ用スピーカーである








用語解説



AVアンプ

オーディオビジュアル(AV)専用に開発されたマルチチャンネルアンプの通称
いわゆるAVアンプといっても多々種類が存在し
Jネット★タカタでテレビとセットで更にお安く等とほざいているものは2.1チャンネルの紛い物

AVアンプはこれれっきとした単一の機材で、見た目は接続端子がやたら数が多い
液晶画面つきの大型アンプといった風情である

最大の特徴マルチチャンネルは録音・編集の段階から
音声が前後左右の音が発生する位置を画面にトレースさせる目的で作成されるもので
ライブDVD等はともかく、ステレオCDをこれで再生してもマルチ再生されるわけではなく意味はない

2チャンネル(ステレオ)を再生してもそれが複数のスピーカーから出るだけであり
リヤスピーカーの意味も当然薄いが、多スピーカーの効果そのままに臨場感は絶大である
これに心酔し、そのままAVの世界へ行ってしまう者も少なくないのが現状である

しかしたとえ高性能なAVアンプを使用したとしても
多スピーカーである以上1つスピーカーから発生する音エネルギーの総量は数の分だけ減少し
音質的にはステレオアンプに大きく水を開けられてしまう

これは用途の違いによるもので、多機能を求めるAVアンプが構造上不利なのであり
存在の優劣を語るものではないない

ステレオにはステレオ マルチにはマルチのためのアンプが存在し
これらは映画等、映像と同時に楽しんでこそ本当の価値を発揮するものである




Posted by Siina daioujou - 2010.09.10,Fri
その日、オーディオに出会った
それまで見てきたどんなものでもない「本物の」オーディオに

それで何をしようというのか
それで何を見ようというのか
それで何を聞こうというのか

オーディオというものに触れる人間にそのような問答は不要である

それをこそ無心に求めるがゆえに 彼はオーオタなのであるから





孤独のオーディオ 7話




その奇天烈な男はひたすら胡散臭い



「スピーカーばかりみていたようだが、 何をしようというのか(*´Д`) 」



誘われるがままにカレー屋へ連れられたト・ヨブレは
自分が何を求め、何をしようとしているのかを語る

これまでの経緯、求めているもの、発見したもの探すもの
不思議とそれらを語る気になったのは、その男がそれと悟らせる程度に
言葉の節々に見せる「自分もエロ・ゲーを嗜む」という意思表示だった

ト・ヨブレよりも幾分か歳を重ね、何年も前から社会で飯を食っているせいか
よくある若さゆえのエロ・ゲーへの奇妙な崇拝や意思表示はなく
落ち着いた様子でホワイトアルバム(当時はまだリメイクされていない)の魅力を語る姿は
それなりの苦楽を二次元煩悩と過ごした者、まさに悟りを開いた様子である

カレーを完食しきり、辺りが夜の街へ変化しようという時間までエロ・ゲー談話が進む


ただそれだけで終われば、不思議な男も居たものだ で終わったのだが・・・



「ト・ヨブレヽ(´ー`)ノ 部屋にこないかね」

卿は初対面を会ったその日に招くのか、豪気なことをするものだ

「今日でなくてもかまわないが、一度くるといい(*´Д`) 」

いや、この際招きに応じるとしよう、オ・タクーの部屋拝見といこう




そこで一度断れば、きっと
二度と再び会うことも無く、彼の部屋にあるものを目にすることもなく終わったことだろう

何故か彼はそこで行くという判断をした 正に、人の命運は奇奇怪怪






彼の部屋はそれなりに高額なマンションの高階層にあった
身なりが素人目にも良いことから、おそらく高給取りであることは伺えたので予想の範疇内である

貴族のエロ・ゲマーも昨今そう珍しい存在ではない

部屋の一角を煩悩の秘密道具を収めてあったであろう空き箱が埋めていたり
壁一面に貼り付けられ、ド根性ガエルのごとき薄っぺらい姿にされた哀れな美少女達の姿があったりと
とても世間様にお見せできぬ生活空間を隠し持つのに身分の貴賎はない




しかし、この部屋にあったものは桃色の空間などでは断じてない
ロフト付きの広い室内の一角を完全に占拠していたのは

無骨なくすんだ木の色そのままのやや大型の箱が2つに
見たことも無い鮮やかな色と信じがたい太さのケーブルで繋がれた鋼鉄の地肌むき出しの物体

それが放つ空気は、到底常人に耐えられるものではない


その謎の巨大システムが何をするものなのか、用途は辛うじて判る

木箱は見たことも無いほど大きいが、ネットの外れたスピーカーのように見えるし
二つある鋼鉄の平べったい箱は、おそらくアンプであろうからだ

しかし見たことが無い、こんなものは
だが明らかに自分が見て触ってきたものと、一線以上を隔することは明確である



まるで異質な世界に立ち入ってしまったような哀れな旅人、ト・ヨブレは思わず後ずさった




これは、これは一体なんだ なんなのだ

「オーディオ」

オー・・・ディオ? これがか こんな巨大なものがか? なんの冗談だ

「何処にも冗談などない、これはオーディオだ、これが、これこそがオーディオというんだト・ヨブレ」

鳴るというのか? こんなものが こんな巨大なものが 音楽を出すというのか?

「そうだ、そのために、そのためだけに存在する」






「聞いていくかね?」










その日、耳に入り込んだ「音楽」というものを生涯忘れることは無いだろう
当時のそれより優れた「音」はその後幾度も聞くことになるが
そのとき初めて「本当のオーディオ」で聞いた最初の音は特別なものになった

同時に、ト・ヨブレがやってきた あらゆる行為が無駄になった
どんなに探しても、ゴミ屋に二束三文で転がるミニコン用スピーカーでは
到底太刀打ちできぬと、否応なしに理解してしまうその音色

その全てに魅せられた、音・見た目・雰囲気

まさに、全てを過去のものへとする 文明開化の鐘そのもの
一度として聞いたことの無い、楽器の生々しい音の数々と広がり


革命であった、その感動を言葉で表すには彼の乏しい表現力では身に余るだろう






ト・ヨブレは彼に問うた、どうしてこんな音が出るのかと

回答はただ一言である



「これがオーディオだからさ」





そう、ト・ヨブレがその音を手に入れるにはオーディオを得なければならない
今まで手に入れてきたものとは明確に次元の違う存在
オーディオという名前を持ちながら存在意義の異なる機材達を

手に入れなければならない、自分の手で




その日彼はオーディオを知った

長い長い、旅路の始まりの日である














そしてその日ト・ヨブレは、あまりのことに忘れていた事を彼に改めて問うた



そういえば今更だが卿の名を聞いていない、なんというのか

「そういえば(´Д`;) 名乗るのを失念していた_( (_´Д`)_ 」



「私の名は カ・マーゲ 」












登場人物



カ・マーゲ (マスター・カ・マーゲ)


ト・ヨブレが初めて遭遇した「本物のオーオタ」
本来隠れ潜み、その実態を一切外部に漏らすことの無いオーオタ達が
こうして人々の前に現れることは極めて稀である、いずれ書き記すことになるだろうが
オーオタには極めて厳しい戒律が存在し、それを破ることは己と己の機材の死を意味するからである

遭遇後、曲折を経てト・ヨブレのオーディオの師となるが
そのオーディオ暦は古参のオーオタ以外が死滅しつつある現代においては若手の範疇に入る
しかしながら明確に自分の求めるオーディオのスタイルを確立させ
それを実現可能な技量と経験を併せ持つ数少ない「一流」であり、一目置かれるゆえんである

尚オーオタの世界はこうした特性上、伝道は世襲に頼らざるおえず
新たなパダ・ワン探しもオーオタの義務の一つであり
ト・ヨブレが目を付けられた経緯にはこうした背景も存在する



Posted by Siina daioujou - 2010.09.04,Sat
良い音楽を聞きたいという欲と
良い機材で聞きたいという欲は、同じように見えて異なる物であるが、しかし

良い音楽というカテゴリに機材という概念は存在しないが
良い機材というカテゴリには良い音楽というものが存在する

だというのに、両者の関係は密接のようでいて疎遠

それを体言する存在

音楽を聞くことを愛しながら、聞かせることを拒む者
音楽を鳴らすという行為を愛し、しかし演奏を拒む者
音というものを愛し、原音を望む者と望まぬ者


オーオタ  彼らはそう呼ばれていた





孤独のオーディオ 6話




祖国厳島に帰国したト・ヨブレは労働した
とにもかくにも労働した、目的はない ただ何かに急かされるように働いた

右も左もわからぬとはまさに、その様子を表すだろう

そんな忙しく日々を過ごす彼だったが
友人の大学組はいまだ学生であるから、比較的時間に余裕があれば夜中でも遊びまわっていた
なんと落ち着きのないと、当時を思い起こせば赤面のいたりだが誰しも覚えのある時期だろう


そんな折、ト・ヨブレはゴミ屋でついに少ない給金を使ってコンポセットを手に入れた

それはオンキョーのミニコンポといっていいサイズのCD/MDコンポで
今まで手に入れたものよりもずっと立派な作りのスピーカーがついており
アンプも小型ながらも銀色に輝く、いかにも当時の彼からすれば高そうな感じがするものだ


嬉々としてとして持ち帰り鳴らしたト・ヨブレの感動を言葉で表すのは難しい
他人のもので聞くより自分の所有物となった物で聞く感動はより大きなものだ

比較的ズッシリと重量が感じられるその2ウェイスピーカーは
これまで段階を踏んで音楽を鳴らしてきたト・ヨブレをして、本来一気に満足にさせるに足る性能だ

しかし、友人の高額セットを一度聞いたト・ヨブレはそれにあるアイディアを重ねようとしていた




あの時、スピーカーはセットで買ったものではなく「別に買って繋げた」と言っていた

そうたしかに運ぶ時スピーカーは「切り離せる」繋いでいる部分が取れるなら
まったく別のスピーカーをつけても動くはずだ

ゴミ屋には色んなスピーカーが大量に並べてある
これを色々つけてみる、凄いスピーカーが見つかるかもしれない





オーディオにおける機材の定義とは

音源入力装置(プレイヤー)から増幅装置(アンプ)につなげ、そこから再生装置(スピーカー)という流れが
ごく一般的な音楽再生である、コンポシステムとはそれを一つの固体に固めたものにすぎない

それら機材は本来個別に別れたものであり、接続端子の規格さえあればどんな組み合わせも可能だ
スピーカーはその組み合わせの中でも特に、取替えて音の変化が最も顕著な存在である

オーディオにおける音変化の優先順位は諸説あるが、部屋などの環境を除けば
「スピーカー>>>>アンプ>>デジタルコンバータ>>プレイヤー>>ケーブル類などの補機類」となる

オーディオは入手した音源そのものを改変して音を良くするわけではない
DAC(デジタルオーディオコンバータ)は音源を改変するための機材ではないからだ

出口優先という合言葉があり、まずもって簡単に音を変化させようというなら
まずスピーカーの側から物事を考えよという思想である、これはまったくもって正しい



きっかけがあったとはいえ、これに一人でたどり着いたのは賞賛に値することだろう

しかし、人知れずしてオーオタ修行の大事な転換点に立ったかと思われたト・ヨブレは


見事に盛大にガーターをかました、それはもう球速60kmでレーンから外へ飛び出すくらいには




具体的には、スピーカーを「交換せず」に「2セット繋げた」






なんとすごい 音がどんどん俺を覆うように出てくるぞ これはすごい
できるかもと思ってやってみたらできた やっぱりスピーカーは「増やせる」のだ

これはすごい発見だ これならもしかして大きなスピーカーに小さなスピーカーを
合体させてみたりとかもできるんじゃないのか

そうすれば大きい物が低音を出して、小さいものが高音を出すようになるのではないか


どうだジ・マール すごい臨場感だろう かっこいいと思わないか?

「そんなことよりメカっ娘書こうぜ★ 俺このエロ・ドウジン見てると興奮してきちゃったよ★」

命がいらないようだな

「まてよせ俺はだなヒートアップしたお前のお熱をクールダウンしようとd アワビュー!!」




哀れな友人が職業柄ついた筋力で折りたたまれ、箱に格納されるという惨めな最後を遂げる頃になると
ト・ヨブレの音楽環境は奇妙な姿となる

メインとなるコンポの本体に2ウェイと3ウェイのセット4つのミニコン用スピーカーが接続され
何をどう間違ったのかPC88proが赤白線でPCと繋がる合間に接続されるなど
現在のト・ヨブレが見れば呆れるであろう無茶な構成である

後に知ることだがPC88proは音楽製作機材であり オーディオデバイスではなく
間に入れたからといって一切音が変化する接続方法ではなかったのだが
いかにもスイッチが一杯で、ステレオに拘っている雰囲気が ト・ヨブレの所有欲を満たした

比較的頑丈な本棚の中にスッポリと納まるその姿は自画自賛ながら収まりよく
頭上から降り注ぐようにおりてくる複数の音に大満足であった


無茶な使い方のためにコンポが青吐息で、大した出力も出せていないことには全く気づかずに


スピーカーを大量に繋げる端子があるAVアンプというものもいいなためしてみるかと
多スピーカー主義真っ只中のト・ヨブレは楽しさを感じていた

スピーカーをとっかえひっかえにし、ゴミ屋で低額で機材を入れ替える楽しさに
物置に溜まっていく粗大ゴミならぬスピーカー達はとりあえず見なかったことにして



同時期にト・ヨブレはドウジンCDを大量に買いだした
それまでは「黄昏」のエロ・ドウジンぐらいしかあまり手をつけなかったのだが
インターネットでサイトからダウンロードできるMP3の魅力に取り付かれ、買うものの比率は逆転した

そのころはネットラジオも盛んであったことから
ラジオトークのあまりの卑猥さに心が動いたエロ・ドウジン屋ヨフ・カシ
CDを出す前からMMORPG「黄昏」絡みだったキ・シーダや
ドウジンCDでジャズとか珍しいと手に取ったコ・ボーネなどと知己となったのもこの頃である

そんな毎日が活力に満ち溢れていた時間
それがずっと続くのではないかと思われたかにみえた

オーディオという単語に コンポ以上の認識を持たなかった



夏の暑い陽射しも少し収まろうかという頃

20の夏から秋へと時が変わる時期

彼は出会ってしまうのである





ことあるごとにゴミ屋で新たなスピーカーを仕入れ
入れ替え入れ替え楽しんでいた彼は、新たなスピーカーが無いかと足を運んでいた

いつもどおりのゴミ屋、リサイクルとは名ばかりの粗大ゴミ置き場
食品と家具コーナーを通り抜け、何時もの家電コーナーの隅に立ち寄ったト・ヨブレは
手に取ったスピーカーのサランネットを外し、ユニットの状態を見ていると




何故か寒気を感じた


視線を感じるのである


ふと後ろを見ると、そこには男が立っていた

痩身痩躯のその男は感情の読み取れぬ顔をしていた
だが、目には得体の知れない力が篭っている

視線はその男からのものだ、しかし知り合いでは当然ないし関係があったという記憶もない

しかし彼は視線を外すことはない ただ何でもないようにト・ヨブレに視線を当てている

雰囲気が 異常だった、視線が一度ぶつかったというのに気にもせずこちらを伺う男は
到底カタギの存在には思えない、威圧感ともしれぬ奇妙な空気を纏っている

周囲には誰も居ない、奇妙な空気を察したのか他の客は居なくなっていた


スピーカーを見るのを切り上げ、立ち去るべきかと考えた所に先んじて

ついに男は3歩ほどト・ヨブレに近づくと口を開いた









「カレーを食いにいかないか?(*´Д`) 」


な、ぁ  ぉ     え?












用語解説



ウェイ


スピーカーのユニット搭載形式を指す言葉 オンドゥルライダーの鳴声でもある

スピーカーユニットは再生する周波数ごとに分類され

フルレンジ - 全帯域用(50Hz~15kHz)
スーパーウーファー - 超低音用(1Hz~100Hz)
ウーファー - 低音用(20Hz~5kHz)
ミッドバス - 中低音用
スコーカー - 中音用(500Hz~5kHz)
ツィーター - 高音用(5kHz~24kHz)
スーパーツィーター - 超高音用(25kHz~100kHz)

これらを組み合わせ
ツィーター+ウーハー=2ウェイ
ツィーター+スコーカー+ウーハー=3ウェイ
という具合にスピーカーの構成を決定する

フルレンジは通常一発のみで使用され、内部回路(ネットワーク)を必要としない(1ウェイとは呼ばれない)

ウェイ数字が小さくなるほど制御が容易になり多くなるほど鳴らしにくく制御しにくいとされるが
実際はスピーカーそのものの構造やユニット特性に依存するもので
操作性は実際には、それほどの差異はない

スピーカーユニットの数が増えることで駆動に必要な出力が大きくなるのは事実であり
同時に複数箇所から音声を出す特性上、再生される音の位置を固定することが難しくなるため
概ね操作性が悪化している、そういう意味では操作性に関係する評価は間違いではない



プロフィール
HN:
Siina daioujou
性別:
男性
趣味:
オーディオ
自己紹介:
広島某所在住、オーディオを趣味とする
部屋が音聞く・寝る以外の行為不能
ゴミ箱があれば部屋としての面目は立つ
カウンター
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