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オーディオは宗教ではない、生き方の指針だ 門松を爆破せよ
Posted by - 2017.10.17,Tue
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Posted by Siina daioujou - 2010.09.01,Wed
20xx年某月某日、エロ・ゲーの新作返還を待ちわびる男の姿がそこにあった
待合室のソファーにもたれかかったト・ヨブレは疲れた様子のまま呟く


遅いじゃないか・・・クローツキン
疾風(早漏)イワンの、大層な呼び名に恥ずかしいだろう・・・



購入早々、エロ・ゲーをレポートコピーの借りとして奪われたト・ヨブレは
諦めの混じった台詞を呟くと、そのままソファーで友を待った


彼の新たな友人、クローツキン・ノミネンコフは

僅か7日で20本のエロ・ゲーを攻略すると謳われた
極寒シベリアの血を持つ、速戦の麒麟児である
そのキャラ攻略における緻密さと迅速さでは、友人達の中で他に並ぶものがない

そんな彼はト・ヨブレからかすめとった大ヤクザを僅か5時間で攻略すると豪語し
その期日にあわせてト・ヨブレを寮の一室に招いていたが

その日、ついにクローツキン・ノミネンコフは5時間の期限を守ることは出来ず
ト・ヨブレは失意のまま自室に戻ることとなった



彼が今だオーディオに、それほどの熱意を向けていない時代の一幕である





孤独のオーディオ 5話






2年の監獄生活の中で、ト・ヨブレがオーディオにおいて学んだものは少なかった
ミニコンポの存在にとりあえず満足し、それが個人の自由が保障されない空間において
けして無秩序に使うことが許されないことを悟ったからだ

その間彼はかつて覚えた、音楽への感動を忘れ去り
何処にでもいるただのエロ・ゲマーと成り下がっていた

事情を鑑みればやむおえぬところもあっただろう、しかし
その2年という時間を無為に使い切ったことを悟った時、ト・ヨブレは大いに後悔することとなった


オーオタにとって時間とは、すべからくゆっくりと流れるものである

オーディオ機材が販売される間隔はそれほど狭いものではない
必要な機材を購入するための大金も、時間をかけて蓄積せねばならないからだ

しかしそれはオーオタとなってからの話
ト・ヨブレが安易に過ごしたその年代は高性能でしかも安価な良質の機材達が
数多く生産終了した年であったため、後日オーオタとなったト・ヨブレは血の涙を流したものである


事実この時、最終ロットの機材達をセールで得られていたら
ト・ヨブレのオーオタとしてのスタートは大いに機材的に充実していただろう

そして狭量な視界のまま、大した研鑽を重ねることなく一介の3流オーオタとして
オーディオの深遠に触れえぬまま、平凡な人生を送っていたことだろう




それを気づかせたのは皮肉にも一人の3流オーオタの姿だった
いや、オーオタとはよばれないだろうし、彼もそう自称はしないだろう


彼はその監獄で貴族に位置する存在であった
裕福な生家を持ち、監獄の中にその身をおく事をよく周囲から訝しがられたものだ

彼の趣味は自称するところオーディオであり
傍目から見ても高額そうなオーディオセットを狭い部屋に押し込んでいた


機材の価値を言外に自慢する彼だが、しかし人間としては誠実な男であり
だからこそト・ヨブレと友人となりえたが
そのオーディオ機材の扱いは、当時何も知識のない彼ですら眉を顰めるものだ



ステレンレスラックにコロ足のついたそれは土台としてはあまり良いとはいえず
無秩序にその上に重ねられたアンプ類とプレイヤー
あろうことかその機材に乗せられたスピーカーの姿は素人目に見ても美しくなかった

友人はお世辞にも美的センスに優れているとはいえなかったが

今のト・ヨブレが見ればB&Wの小型スピーカーとマランツのセットと看破したそれは
確かにそこそこの品質なものである、格を見る目は大きく的を外さなかったようだ
しかしそれを選んだことは正解であり、同時に失敗でもあった



オーディオ界における定番的な組み合わせといわれるB&W+マランツだが

その定番さに反して、いずれもオーオタとしてすら使い手を選ぶ機材達であり
そも本格的オーディオシステムをミニコンポと同次元の使い方をする状態で
その価値が2割も出ているとは言いがたい

オーディオという存在が「ただ置けば鳴る」というものでは絶対ないことを
皮肉にも機材を愛し、良い音が出ると喜ぶ彼が証明していた




たしかにすばらしい、これがいいコンポというものか

「そうだろうト・ヨブレ、気に入ったCDをいれてもいいぞ」

ありがたい、その申し出を受けよう
しかし、妙にラックが震えるし 見るからに安定しておらんようだが

「コロはロックしてあるから気にすることもないだろう、それに見た目より重いから落ちることもない」

たしかに落ちてはこないだろうが・・・


「なに大したことではない気にするなト・ヨブレ、それよりどうだワインが手に入った
このご時世だ、ろくに美味いものも手にはいらんだろう、どうだ共に」

卿(けい)は俺が下戸と知ってそれを勧めているだろう、悪趣味なことだ

「少しは飲めるだろう?
一人でこれを胃に満たすには味気ない、たまには付き合うのも友人付き合いというものだ」

やれやれ、そうまで言われて断ることができぬだろうと卿はよくご存知のようだ、もらおうか




彼は幸か不幸か、おおらかで物事を気にしない男で
大きなシベリアの大地の血がそうさせるのか、クローツキン・ノミネンコフは得がたい友人であった

ト・ヨブレはたしかに信じがたいほど高音質なそれを聞いて驚きはしたが
音と一緒に肥満体の腹肉もかくやと震える機材達とラックに意識を大きく取られた

オーオタならば、それが異常なことであると悟ってしかるべきだろう
しかし彼は残念ながらオーオタではなかったし
部屋に響きわたるブーミー音や、後にフラッターエコーと呼ばれる異常にも
一切気を払うことはなかった

それは同時に隣人をも気にせぬということであったから
当時の彼の隣人達はまさに極限の中で生活することを、やむおえず強いられたことだろう






2年という時間は短い
気がつけば訓練期間は終了し、本格的に己の道を模索しなければならなかったト・ヨブレが選んだのは
友人達の誘いを断っての、恋しい祖国への帰還であった

永遠に友人達と騒いでいられるほど、人間の生は幸福にあふれてはいない
得がたい友人との関係は一生続くかもしれないが
伴侶との関係も一生となるかは当人努力次第であるのがいい例だ
社会人としての立場を得るということはこれらの取捨選択を迫られる一つの時期であり
それを否というなら、自由人としてそれなりのリスクを選び、自由人なりの責任を負うのである


社会人としての利点は労働の対価が比較的安定しているという点だ
労働し、対価を得てそれを何に使って生きるかはそれぞれの自由であるから

まだ見ぬ労働の対価とやらが、求人情報でみるよりも実はずっと少ないことをまだ知らない
若干20のト・ヨブレはありもしない大金の使い道を考え続けていた




いよいよ働いて金が得られることとなった
労働するのは恐ろしいが、それより小遣いに頼らずとも大金が手に入る、それが重要だ

さしあたってあの機材のようにいい音がでる機材が欲しい
まさかあんなすごい音を出すコンポが存在するとは

聞くにあれはミニコンポのように一式ではなく
個別に分けて売られているものを合体させているコンポらしい、しかもメーカーは問わぬそうだ


そういえばゴミ屋にミニコンポだけでなく、色々置いてあった気がする
あのコンポにくらべれば小さいが、ちゃんと3段か4段くらい機材が重ねてあった

きっとアンプとCDプレイヤーと何かよくわからないものに違いない、あれがよい





未来への期待を胸にト・ヨブレはついに祖国へ、帰還の途についた

幾度となく足を運ぶことになったそのゴミ屋で
まさしく彼の人生を変える存在に出会うだろうことを、ト・ヨブレはまだ知らない






人物紹介



クローツキン・ノミネンコフ


ロシア人の冷たい血が4分の1流れる巨漢、あまり祖父の面影はない
裕福な家庭に生まれながらオ・タクーへの道を選んだ異端者
疾風(早漏)イワンの異名を持つ、一代の豪傑である

オーオタではなく一般的にオーディオ好きというレベルに留まる人間の姿そのものであり
本来エコノミーより少し上のオーディオ機材を購入消費する一般的市民としてあるべき姿

こういった人々の提供する資金こそオーディオメーカーの命綱の筈であったが
その連鎖が断ち切られ、オーディオに人々が興味を失った時暗黒の時代は到来した

所持していた機材はB&Wのローグレードスピーカーとマランツの小型アンププレイヤーセット
オーオタから見ればエコノミーの部類だが
一般市民からみれば十分高額の範疇に入るだろうことは明白である




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プロフィール
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Siina daioujou
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男性
趣味:
オーディオ
自己紹介:
広島某所在住、オーディオを趣味とする
部屋が音聞く・寝る以外の行為不能
ゴミ箱があれば部屋としての面目は立つ
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